出版社内容情報
パリ、マドリー、イスタンブール、メキシコ……
…。元請けが指名した<標的>を求めて、世界をさす
らう殺し屋。さてついに追い求めた<標的>の正体と
は?テンポの速い展開としゃれた会話で綴られた表題
作は、現代世界の一断面を明るみに出して、切れ味す
るどい。他に、『ラブ・ストーリーを読む老人』にも
似てエコロジー問題への深い洞察に満ちた『ヤカレ
ー』を収録。
内容説明
テンポの速い展開としゃれた会話『カモメに飛ぶことを教えた猫』。『ラブ・ストーリーを読む老人』の作家、セプルベダの魅力全開の中編作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
70
セプルベダ2冊目は、〈センチメンタルな殺し屋〉〈ヤカレー〉の2篇。前者はプロの殺し屋、後者は保険会社の私立調査員が登場する。いずれもセンチメンタル色に彩られたハードボイルド小説だ。〈センチメンタルな殺し屋〉は、頭のおかしなやつと撃ち合いを演じない、声だけで瞬時に相手を聞き分ける、ひとりで暮らし、仕事に私情をはさまないことを自戒とする男に対して、女が「ふだんは何をしてるの?」と相手の胸毛をいじりながら聞く。「人を殺すのが商売なんだ。殺し屋だよ」「レオンみたいに? 映画は見た?」→2023/04/23
キジネコ
29
業界で圧倒的な評判をモノにしてきた殺し屋。掟破りの恋をした挙句に、寝取られるは、運にも見放されるは・・・15年続けた仕事の引退を迫られ、最期の仕事に旅立つが・・大国アメリカの横暴に一矢報いるテロルの決算/ ペルーから亡命してきた元刑事、スイスの保険会社に潜り込み、オプの仕事でミラノに乗り込んで見届ける難事件の顛末・・欧州資本主義が食い物にした南米の自然資源の復讐譚。一級のウイット、ほろ苦い結末、アナキストのジサマを持つ作家のハードでリアルな人生にも興味津々、経験に濾過された大人の寓話の味わいに痺れました。2014/01/13
かもめ通信
12
表題作の他に保険会社の調査員によるワニの皮を密輸していた会社の社長の死因調査の顛末を描いた「ヤカレー」という中篇が収録されている。どちらもちょっとハードボイルド風味ではあるが、スリリングな展開よりも、“センチメンタル”と静かにでも確かに横たわる欧米諸国への批判が著者らしさを醸しだしていた。2014/05/24
風花 kazahana
6
チリで生まれ 独裁政権によって投獄された過去を持つという作者。物語は ちょっと語り口がおしゃれな 私にとって 「ザ 西洋文学」の二作。「センチメンタルな…」の方は そういう殺し屋が 殺し屋ゆえに 職務を全うせざるを得なかった、というお話し。途中 なんとなく想像はついたが。「ヤカレー」には 変なことで手を焼いた😥 登場人物が多く 片仮名の長い名前がズラリ。刑事が…とか 父が…とか 娘が…とかにしてくれたら ありがたかった😅 途中で読み返して 人物一覧書きましたわ😂 おしゃれな短編という感じ2021/12/13
秋 眉雄
4
洒落た会話やスマートな展開の中、うっすらと滲み出ているのは、アメリカやブルジョアに対する憤り。そのやるせなさ。『カモメに飛ぶことを教えた猫』を購入。2015/06/13