感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kana
19
軽やかな筆致でえがかれる脱北した少女リナの悲劇的な生涯。圧倒的に社会的弱者であるリナは麻薬、売春、万引き、殺人に手を染めながら、何とか今を生き延びる。あまりにあっけなく打ち砕かれる希望の数々に物語的甘さを排したシビアな現実を感じつつも、どれほど虐げられても1人の人間として尊厳を失わずに生き続けるリナの姿に幾度も心を揺さぶられました。もはや同情の涙はなく、リナを想い、夢でうなされるほどに、リナの見る世界にのめりこみました。2012/02/06
りつこ
14
ヘヴィだった。気が強くてあまのじゃくな少女を待ち受けるのは、とにかく悲惨な生活。貧しくて不潔でいつもお腹がすいていて暴力と嘘に満ちた世界。生き延びるためには盗みも人殺しも辞さないしたたかさをもっているが、まだほんの少女なのだ。なんて悲惨でなんて絶望的で、なのになんて強いんだろう。まいった。2012/04/24
フランソワーズ
9
「脱出してP国に入り、ジーンズと靴を買って大学生になるのだ」。そんな夢を抱いて国境を越えたリナに待っていたものは...。貧困の中でこき使われ、売春させられ、金をがめられ。人を殺めることまでしても、P国入りは出来ず。結局彼女にとって、世界はみなそれほど変わらない酷いところ。それでも最後まで読めたのは、決して希望を捨てない彼女の芯の強さや情の深さに惹かれたからでしょう。2024/02/25
うさこ
6
祖国から亡命するお話です。一言で決めると「悲惨」。主人公は気が強くて天邪鬼な性格。その性格がこんなに悲惨な人生に・・・。この本は色で表すなら「ねずみ色でところどころ赤黒い」。こんな救いようのないお話は好きではありません。でもきっとこの陰湿な読後感はいつまでも残るのでしょうな。2012/09/28
bouhito
5
リナは貧しい国から抜け出し、同じ言葉を話すもっと豊かなP国を家族とともに目指す。しかし、リナはますます貧困のほうへと足をとられてしまう。リナの足は太い。なぜならば、彼女は強く、この大地に立って、どこまでも放浪を続けるから。2016/11/27