内容説明
2007年秋、兵庫県立美術館と名古屋市美術館は、共同企画・同時開催というかたちで、特別展「河口龍夫―見えないものと見えるもの」を開催した。河口龍夫は、1940年神戸市に生まれ、多摩美術大学を卒業後、1960年代から常に現代美術の第一線を歩んできた。“関係”というテーマの下にさまざまな現象を視覚化しながら、「見えないもの」と「見えるもの」とを対比して呈示するそれらの作品は、視覚を中心にとらえ、語られてきた美術の思考に新たな一面を提示する試みでもある。現代美術が、素材やテーマを開拓し、彫刻から空間としての作品へと展開していった潮流の中で、河口龍夫の作品は、物質的な表面を見せながらも、生命や死、悠久の時間の流れや宇宙など、観るものを哲学的な思索へと誘う。本書は、展覧会に併せて発行され、すでに完売となった展覧会カタログに、会期期間中に開催されたふたつの対談の模様を新たに収録した記録集である。
目次
見えないものと見えるもの
兵庫県立美術館会場図版
未来のTたちへの手紙
名古屋市美術館会場図版
“DARK BOX”は見ている
河口龍夫―宇宙に種子をまく人
時の粒
対談 河口龍夫×中原佑介
対談 河口龍夫×北川フラム
作品解説
出品作品リスト
河口龍夫年譜
参考文献