暴力の考古学―未開社会における戦争

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  • サイズ B6判/ページ数 175p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784773803075
  • NDC分類 389
  • Cコード C0039

内容説明

「帝国」の「戦争機械」が猛威を揮う時代に、未開社会における暴力=戦争の意義を考察する。人間の声に、人間的な言葉に耳を傾けるために。『千のプラトー』において、ドゥルーズ=ガタリが思い出を捧げたピエール・クラストルによる、未開社会の暴力をめぐる哲学的挑戦。

目次

暴力の考古学―未開社会における戦争(ピエール・クラストル)
クラストルの戦争論の理解をめざして 戦士に抗する社会―服従を拒否する社会における死と威光の交換(毬藻充)

著者等紹介

クラストル,ピエール[クラストル,ピエール][Clastres,Pierre]
1934‐1977。パリに生まれ、ソルボンヌ大学で哲学を学ぶ。人類学者で、南アメリカ先住民の神話を研究するアルフレッド・メトローのもとで、南アメリカ民族学をフィールドに選び、政治人類学者としての道を歩み始める。哲学者クロード・ルフォールらとともに雑誌『リーブル』の創刊に参加し、政治権力をめぐる問題を軸に論文を発表し始める。すべての文化は自民族中心的であることを免れ得ないとしても、「異民族文化抹殺的であるのはヨーロッパ文化だけである」と断言し、それは「多なるものを解消して一にしようとする同一化の原理」がはたらいているからだと喝破するなど、南アメリカ先住民社会を深く研究しつつ、それに基づいてヨーロッパ文明に対する徹底的な批判を展開した。不幸、自動車事故で夭折したが、形成途上にあったその理論は、フェリックス・ガタリの「戦争機械」概念をはじめ、急進的な現代フランス政治・哲学思想に影響を与え続けている

毬藻充[マリモミツル]
1950年生まれ。現在、同志社大学で哲学、京都精華大学ほかでフランス思想・比較思想史・現代ヨーロッパ論系の講義を担当
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sayan

30
系譜学や考古学と銘打たれた書籍は得るものが多く好んで読む。そんな文脈から本書のタイトルに興味をおぼえ手に取る。刹那、弩級のストレート記述に面食らう。「戦争は、国家なき社会が…多を圧殺する国家に対抗するために、未開社会に不可欠な機能=機械」と言う。未開社会を国家の出現を避けるように構築された社会と定義づけ隷属せず自立的な存在と言う。そして同社会は、物質的超過と社会的格差を禁止し経済的、集会的差異を拒絶する著者のロジックは一瞬魅力的だ、しかし自然権・社会契約(国家)に慣れた頭には理想論では?と違和感が大きい。2020/10/22

roughfractus02

11
本書は、未開社会は未分化であるという前提からデュルケムの社会分業説を批判する。また、戦争と暴力の考察では、生物学的本能(ルロワ=グーラン)、貧困からの脱出の目的(マルクス主義)、商取引としての交換の失敗(レヴィ=ストロース)という説の中に狩猟の延長としての戦争という前提を見出し、物質の奪取を前提とした社会の拡大でなく、共同体のアイデンティティー維持という精神面から戦争を行う社会があることを、自らの人類学調査から演繹的に論証する。が、支配/被支配のない社会がどこまで未分化なのかは、さらなる検証が必要に思う。2024/02/08

Mealla0v0

7
戦争することで結合している社会体についての考察。クラストルの見た南米の未開社会は常に戦争をしている。戦争こそが社会をつくっているのだ。つまり、国家に先行して戦争がある。この未開社会は、戦争をすることで権力を分散し、強権的な国家の登場を阻止しているという。クラストルによれば、戦争社会は国家に抗する社会なのだと言う。フロイトの「トーテムとタブー」を彷彿させる他方、D-Gの〈戦争機械〉の原型ともなった考察には感心させられる。戦争機械が国家に絡め取られたところにリヴァイアサンを見るのか。それもまたおもしろかろう。2017/12/01

★★★★★

6
夭折したフランス人文化人類学者による、戦争を巡る考察。戦争とは「未開」社会の存在と本質的に結びついたものであって、それを維持・再生産する機能を帯びたメカニズムであるというのが結論のようです。非「未開」社会への跳躍はどのようにして起きたのかなどいくつか疑問は湧きますが(と思ったら、最後に自分でそう書いてた)、社会科学の論文としては美しいと言える一篇でした2010/03/23

Kan T.

4
〈未開社会〉の暴力・戦争について、ホッブズとレヴィ=ストロースの批判的継承。「ホッブズは交換を取り逃がし、レヴィ=ストロースは戦争を取り逃したのである」(55頁)。一にまとまらない社会について。2020/06/27

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