出版社内容情報
米国主導のグローバリズムに合わせて、経済諸領域・貿易・文化のあり方を急速に変貌させる日本社会。他方で、それとバランスをとるかのよう噴出する偏狭なナショナリズムの衝動。
都知事の「三国人」発言、首相の「神の国」「国体」発言などは、「不況・失業・リストラ」などに窒息する社会の底辺に暗く澱む、不満感情・怨念の炎に、油を注ぐはたらきをしている。
他者を迎え入れず、貧しく閉塞する日本の社会・文化・政治・文学の状況を批判的ない内省する1996-2000年の諸論考を集成。
論じる対象は、司馬遼太郎、丸山真男、吉本隆明、山内昌之、中島ゆみき、船戸与一、目頭真俊、小林よしのり、ラーゲリ、ペルー人質事件、ベトナム戦争、東チモール、周辺事態法、日の丸君が代、天皇制、ユーゴ空爆、自由主義史観、アイヌ文化法、オウム裁判、映画
「プライド」など、多岐におよぶ。
内容説明
社会のあらゆる細部から噴出する自民族中心主義の悪煽動を批判する。
目次
1996年(近い過去・遠い未来―『インパクション』誌百号記念に寄せて;逆の方向で問題を捉えるということ―キューバ国軍による「救出の兄弟たち」機撃墜の報に接して ほか)
1997年(「他者」なき自由主義史観;植民地問題をめぐるせめぎあい―丸山真男氏への追悼文を読む ほか)
1998年(植民地支配責任を不問に付す「アイヌ文化振興法」の詐術;ペルー人質事件終結から一年目に ほか)
1999年(裁判長期化批判キャンペーン批判―オウム・ウォッチャーを読む;川勝平太の「常識派」風言論の行き着く先 ほか)
2000年(プエルトリコに沖縄を透視する;受難と抵抗)