ドキュメンタリー映画の地平―世界を批判的に受けとめるために〈上〉

ドキュメンタリー映画の地平―世界を批判的に受けとめるために〈上〉

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  • サイズ B6判/ページ数 350p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784773625059
  • NDC分類 778.7
  • Cコード C0074

出版社内容情報

 記録映画はとかく「地味だ、つまらない」というイメージがつきまとうが、著者(『阿賀で生きる』という作品で数々の賞を受賞した映画監督)は、いわゆる記録映画(文化映画・教育映画)が現実をリアルに描いてないとして批判し、ドキュメンタリーという呼称と8つの方法論をもって、映像が目指すものを追究する。さらに優れたドキュメンタリー作家を取り上げ、彼ら先達たちの作品に潜むリアルの在り所を浮き彫りにしようとした。上巻は4章まで記述。


【序 章】ドキュメンタリーは映像表現による現実批判である
【第1章】暮らしながら撮る
1、暮らすことで関係が変わる 撮る側・撮られる側のダイナミズム
2、ドキュメンタリーの始祖 ロバート・フラハティ
 ◆作品論=〈暮らしながら撮る〉映画の誕生……『極北のナヌーク』
 ◆作家論=共に暮らすことで生まれる人間の輝き
3、スタッフと共同生活を続けながら撮る 小川紳介
 ◆作品論=移り住むことではじめて見える〈村の時間〉……『三里塚・辺田部落』
 ◆作家論=「まれびと」として虚実の皮膜を剥ぐ――小川プロダクション
【第2章】言葉と別の意味を生む映像
1、映像と言葉の対立を利用する 映像の多元性と言葉の一元性
2、ベトナムの諧謔精神 チャン・ヴァン・トゥイ
 ◆作品論=人倫道徳を説くふりをした辛辣な社会批評……『思いやりの話』
 ◆作家論=〈虚実の境目〉を曖昧にするナレーションの妙味
3、国策を逆手にとる編集の妙手 亀井文夫
 ◆作品論=戦意高揚映画を反戦映画にする……『戦ふ兵隊』
 ◆作品論=漂白の俳人を農民詩人に仕立てる……『小林一茶』
 ◆作家論=屈折した粘着性のモンタージュ
いにゆれる


●まえがき
 ドキュメンタリーとは、映像表現による現実批判である。それは、世界のあり方を批判的に受けとめるための映像表現である。そのためには、映像作家の主体性が確立されなければならない。これが、本書で展開しようとするドキュメンタリー論の骨格である。それはまた、私のささやかな映画づくりの規範でもある。
 ドキュメンタリーの界隈にまとわりつく政治主義や啓蒙主義から離れて、〈虚実の境目〉に漂う不明晰な世界を、その多面体のままにとらえたいという欲望が私にはある。映像には、言語を超えた何ものかを、カオスのままにとらえる力がある。そうした映像の力を信じ、観客の想像力を信頼して、現実に分け入っていきたい。これが、私の志向するドキュメンタリーの基本的立場である。
 したがって、本書は、ドキュメンタリーの包括的な理論書でも、客観的な歴史書でもない。あくまで、私の志向するドキュメンタリーの方法論を検証するため、先達の歩んだ道に学ぼうした作家論である。上・下巻を通して、八つの方法論、一六人の作家とその作品について論じている。第一章「暮らしながら撮る」ではドキュメンタリーの原点について、以下章を追うごとに時代を経ていくような構

ドキュメンタリーを観た後の感動を一言でいえば、スクリーン上の映像から立ち現れてくる〈無意識〉とも言うべきものに出会えることだと思う。

内容説明

言語表現を超えた、つかみどころのない何ものかを、何とかとらえようとするところにドキュメンタリーの魅力がある。

目次

序章 ドキュメンタリーは映像表現による現実批判である
第1章 暮らしながら撮る
第2章 言葉と別の意味を生む映像
第3章 他者の眼差しと撮られる側の戸惑い
第4章 私的小宇宙の広がり

著者等紹介

佐藤真[サトウマコト]
1957年青森県弘前市生まれ。2歳で上京。千葉県松戸市のマンモス団地で物心がつき、東京都練馬区の新興住宅地で育つ。東京大学文学部哲学科卒。在学中より水俣病の運動に関わり、『無辜なる海―1982年・水俣―』(香取直孝)の助監督となる。84年にこの映画の東北・北海道の自主上映の旅で阿賀野川とそこに暮らす人々と出会い、映画作りを決意する。89年からスタッフ7人と新潟に移り住み、92年『阿賀に生きる』完成。その後、テレビ作品、映画の編集・構成など多方面にわたって仕事を展開するが、肝心の映画の方はいたって寡作である。映画美学校ドキュメンタリーワークショップ、京都造形芸術大学で後進の指導にあたる。著書に『日常という名の鏡―ドキュメンタリー映画の界隈』(1997年、凱風社)がある
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

tomdam

1
全てのドキュメンタリー映画は世界を批判する。なぜ批判?肯定しているケースもあるのでは?疑問に思っていたけれど、読み進めるうちに氷解していた。現実をカメラのレンズを通して記録して、上がったフィルムを編集する。その過程において、現実は現実のままではなく、作家の主観が介在せざるをえない。映画内で語られる結論がどうあれ、それは批判と言えるのではないか。世界を全肯定するのなら映画は要らない。テクノロジーの進化によって、映画が少人数で作れるようになり、作品がパーソナルになっていく。一個人の内面の小宇宙に迫る。皮肉な2013/01/28

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