内容説明
古代ギリシアの原子論は“まったく空想的なものに過ぎない”というのは間違いです。それは立派な実験的な根拠をもっていて、アルキメデスなどの古代ギリシアの科学を生み育てていたのです。また原子論は、近代科学が成立したから復活したのではありません。事実はその逆です。原子論は、古代の復興をめざすルネサンスの運動がはじまるとすぐに復活しました。そして、その原子論が近代科学の発展をリードすることになったのです。原子論についての通念をくつがえす。本書は、「世界史や科学史、それに科学の考え方についてまるで知らない」という人でも読みすすめることができるように書かれています。
目次
第1章 ギリシアの社会と哲学の誕生―原子論の誕生
第2章 アリストテレスの科学研究―「古代最大の哲学者」の生涯と原子論
第3章 科学になった原子論―重さに目をつけたエピクロス
第4章 その後の逍遙学派と原子論―ストラトンの“真空論”と重さの研究
第5章 アルキメデスの科学と原子論―付録:医学者エラシストラトスと原子論
第6章 ローマのエピクロス主義者たち―「原子の詩人」ルクレティウスとその他の詩人たち
第7章 紀元1~2世紀の原子論―セネカとルキアノスの時代
第8章 偽預言者事件と原子論者たち―キリスト教の国教化とギリシア哲学の追放
著者等紹介
板倉聖宣[イタクラキヨノブ]
1930年東京の下町に職人の子として生まれる。1958年東京大学で科学史を専攻、物理学史の研究によって理学博士となる。1959年国立教育研究所(現国立教育政策研究所)に勤務。1963年科学教育の内容と方法を革新する仮説実験授業を提唱。1983年編集代表として月刊誌『たのしい授業』(仮説社)を創刊。1995年国立教育研究所を定年退職し、私立板倉研究所を設立。研究の範囲は多様で、自然科学だけでなく、社会の科学とその教育へも研究を広げている。著作も多く、科学者の伝記や科学読物にも定評がある。また、芸術やスポーツを楽しむように科学を楽しもうという「サイエンスシアター」を企画、科学の楽しさを広める運動を展開している
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