内容説明
世界文学史上に残る「雨」ほかの名作短編を、現代の衣装をまとった新訳で!文豪W・S・モームが南海に浮かぶサモアやタヒチ、およびハワイを舞台に創作した物語、6編。南国の熱い空気に魅入られた人々のロマンスと、その悲喜劇―。
著者等紹介
小牟田康彦[コムタヤスヒコ]
1940年、宮崎県生まれ。1959年、高鍋高等学校卒業。1964年、東京外国語大学英米科卒業(BA)。1964‐1993年、東燃株式会社勤務。1995年、英国アルスター大学ビジネススクール卒業(MBA)。1995‐2002年、学習院大学経済学部非常勤講師(英語)他。2003‐2011年、広島国際大学教授(英語)、同国際交流センター長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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AR読書記録
6
単純な二元論的ものの見方をいきおいよく吹き飛ばす内容と、最後の1頁、数行で、気持ちが予想しない着地点に持っていかれる構成の妙と、まずは、上手いのう、と思う。それから、欧米人にとっての南海の小島問題な。異文化との邂逅、もしくは(物理的・精神的)制圧の歴史、みたいなことを考えるよな。勝手に夢見て勝手に幻滅してまあ勝手なこと、とかな。それを踏まえた視点での物語だからいいし、モームのリアリズム好き、と考える。しかし、差別表現へのエクスキューズがないところなど、少々編集の甘さが気になるところはあるな。2017/11/15
Mana
6
当時出版された「The Trembling of a Leaf」をそのまま訳した本は本書が初めてらしい。文庫の短編集や傑作選にて翻訳された話はあっても、この本のまま訳されたことはなかったらしい。収録されている話自体は大体他で読んだことがあると思うけど、出版されたままで読むとより南洋の雰囲気が強まる気がする。最近の本なので訳は大分軽め。先に新潮文庫で収録されているマッキントッシュを読んでしまったのでちょっと違和感があった。2015/07/22
syachi
5
南国の光と影といった感。そして愚かな男性陣。ラス前の「雨」は趣深い。ただ何でそうしたかなってのはあるけど。短編集だから一つ一つの話は短いんだけどその中でもメリハリあってよいね。2015/10/21
茎わかめろん
4
名前をきいてもぼんやりとした地図しか浮かばない南の島の物語。再読と半々。忘れていたけど。結末は予想できるのだけど仕上げの一味がいい。少し感傷的でそれがわかっててつきはなした決着だったり。斜に構えるけどきっちりしてるような。いちようかとおもったらひとはらしいが私にはいちようのほうがしっくりくる響き。2015/02/28
DEE
3
「レッド」と「小川の淵」がよかった。 きちんと読めばきちんと理解できるのがモームの良いところ。 読んでも分からない人もたくさんいるしね。2016/06/18