内容説明
現代は、教育に携わる者すべてが総懴悔を迫られている時代ではないだろうか。立ち止まることを忘れさせるような時代の趨勢と社会の温床的体質の中で、その教育力低迷に思いを致さず、観念的理想の教育論を追い求め奔走し過ぎてはいなかっただろうか。「生き方」を導く訓育的側面と自己実現を目指す啓発的側面とは、教育という車の両輪であることを肝に銘ずべきである。本書は、現代世相への反省と教育再生に向けた「十の戒め」を記したものである。
目次
序 教育不毛の時代?
前段 崩壊の社会学―今、何が問題なのか(時代変わりて;現代への警鐘)
後段 再生の教育学(人の教育は一日にして成らず。正道は険しく邪道は安易なり。万分の一の歪みも、万集まりて一つの大きな歪みとなるを知るべし。;文明の利器、過剰物資は子育ての味方にあらず。その短を知らざれば怠惰と堕落を生み、不満極に達すと覚うべし。;親が子におくる最上の財産は「しつけ」なり。生き方の基本を教えずして無闇に財を与うるは、羅針盤のない豪華船で大海をさまよわせるが如し。;自律性は、他律をもって育てられるべきものなり。他から律せられるを学ばずして、分別は育たず、己を律する規制力も育ち難きを知るべし。;「ねばならぬ」必要場面に立たせるにまさるしつけ法なし。社会的自立を助ける教育を差し措いて知育や情操教育に奔走するは、大地を与えずして金肥だけで植物を育てようとするが如し。 ほか)
著者等紹介
後藤靖宏[ゴトウヤスヒロ]
1937年大分県生まれ。大分大学卒業後、小・中・高校の教職経験を経て、1971年九州大学大学院教育学研究科(博士課程)修了。教育学・発達心理学専攻。福岡中村学園大学講師を経て、大分大学教育学部(教育福祉科学部)・同大学院教育学研究科教授。鹿児島大学大学院講師(非)他。その間、文部省・県教委による教育相談事業や幼児教育番組作成等に従事する。2001年大分大学定年。2001~2008年長崎外国語大学(教授)勤務。日本文理大学講師、福岡こども短期大学教授を経て、現在大分大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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