内容説明
この世で至高なるものとは?時間とは?絢爛たる知の世界は、フェルメールの静謐な画が見下ろす中、何処へ…。大富豪が抱いた不老不死の夢を巡る、奇怪にして時に悪夢的な物語。知的刺激に溢れる小説世界。
著者等紹介
ハックスレー,オールダス[ハックスレー,オールダス][Huxley,Aldous]
1894年英国出身。1916年オクスフォード・ベーリアル・カレッジ英語・英文学部門で最優秀の成績を上げる。第1詩集、“The Burning Wheel”を出版。1962年最後の小説“Island”出版。文学勲爵士の称号を贈られる。1963年ハリウッドの自宅で死去。生涯、多岐に亙って創作活動を続け、出版になる詩集、小説、戯曲、評論集、伝記、旅行記、思索的著作は総計50冊を超えている
高橋衞右[タカハシエイスケ]
1936年、東京都生まれ。1959年来、静岡県高等学校教員。県東部の高等学校、数校に順次奉職。教科は英語を担当。2002年、職を退き、現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rinakko
3
うーむ。幻想的というよりは悪夢めいた…と言いたい、まさに狂想劇。粗野なアメリカ人大富豪の、不老不死への妄執。前半では鳴りを潜め勝ちだったその不気味さが、後半でグロテスクにだだ漏れる展開に息を呑む。大富豪ストイトの幼馴染プロプターが、学者ジェレミーと青年ピート相手に、“時間と渇望”や“潜在的善と潜在的悪”について述べだす件でげんなりしかけたが、手に取ったからには、あのラストに辿り着けてよかった。異様な終局へと頽れる…。英国一族に蓄蔵されたホーバーク文書が、思いもよらぬところで話の核心と繋がる辺りが面白かった2012/11/25
白皙
2
目が滑る読書体験はいつぶりだろう。映画シングルマンの講義シーンで用いられた本なので意地で読み通したけど、私が劇中の生徒だったら単位落としてた。縦横無尽に飛び回る哲学的思想や引用が物語をより複雑怪奇にしていて頭の回路を焼き切られた2024/01/08