泥棒と犬

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  • サイズ B6判/ページ数 206p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784773376890
  • NDC分類 929.763
  • Cコード C0097

内容説明

イスラム神秘主義者の老師はサイードに慈愛の手を静かに差し伸べるが現世の泥にまみれたサイードはこれに背を向け破滅に向け突進…復讐に破れた元泥棒サイードが警察に追われた末最後に見つけた愛も失う―エジプト人ノーベル賞作家マフフーズ―中期の佳作。

著者等紹介

マフフーズ,ナギーブ[マフフーズ,ナギーブ][Mahfouz,Naguib]
エジプト人ノーベル賞作家

塙治夫[ハナワハルオ]
1931年茨城県生まれ。1952年外務省入省。1953年カイロでアラビア語を研修。エジプトを含むアラブ7国などに勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

刳森伸一

4
妻と子分に裏切られて収監された泥棒の復讐譚。主人公の泥棒は明確な信念と主義に基づいて富裕層を狙う義賊であり、正義のために秩序を壊す反体制側の人間。そして犬と罵られる、妻と子分、そして権力側に付いた元同志は体制側の人間。この相反する人々の間に、愛に生きる者と神に全てを委ねる者を配置した象徴主義的な小説だと思う。義賊が復讐という個人的な衝動に駆られることで、単なる殺人者へと堕ちるが、体制はびくともしないという悲劇的な結末に作者の主張が表れている気がする。2020/12/22

てれまこし

4
復讐を誓う男は、社会に蔓延する不正の犠牲者。革命に疑問を抱くに至った民衆にも、同情できる余地がある。しかし、男は民の英雄にはなりきれずに、ホンモノの殺人者、テロリストとなり、孤立していく。植民地化は権力と政治秩序に対する根本的な不信を民衆に植え付けた。独立は権力者を外国人から同国人に代えたが、政治秩序と社会生活との溝は埋まらない。革命の指導者は民衆を裏切り切り捨てる。やり場のない怒りは、権力に反抗する犯罪者を義賊に仕立てるかもしれない。しかし、犯罪者は社会生活への脅威でもある以上、遅かれ早かれ見捨てられる2018/09/12

絶望のメンヘラ

0
『善は急げ。今だ、あいつが驚きから覚めないうちに』 『ピストルは過去を処理し、本は将来を保障する』 泥棒サイードが破滅に向かうまでのお話。2013/05/03

烏山千鳥

0
エジプトのノーベル賞作家マフフーズの小説。エジプトならではの特有のタームはあったものの読みやすかったです。はたか見れば矛盾だらけの思い込みを信じて破滅へと直進して行くサイード。モノローグに何度もあらわれる「犬」。語られていない多くの部分を改めて読み解きたいです。2012/11/01

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