内容説明
モーム幻の小説、本邦初訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
きりぱい
7
誇り高き探検家アレックに芽生える愛情の行方に動かされる。ハーレクインのムードに導かれるような気もしたりして、モームを読んでいる気がしなくなってくるのだけど、モーム自身もこの作品を自選集から外すほど恥ずかしいものを書いたと思っていたのだそう。といっても恥ずかしいのはロマンス云々ではなく、人生観も移り変わり後期作品では意識的に排除していたらしい理想主義や祖国愛といった主張が織り込まれているからだそうだ。当の二人もいいけれど、友人であるディックとジュリアの関係がややこしいけど洒落ている。2011/03/28
Mana
2
モームにしてはずいぶんストレートな展開の話だと思ったけど、解説を読むとやっぱり異色の作品扱いみたい。スラスラ読めて読んでる間は面白いけど、最初が一番面白くてだんだん失速、かな。名家の出身ながら浪費で身を持ち崩した父親。娘は父親に似ず、高潔な精神を持っているけど、この時代の女性には人生を自分の力で歩むことができない。できるのはせいぜい結婚相手の選択くらいなのが悲しい。最終的なお相手の男性も、最後が悪名高いベルギー領コンゴ統治のための活動では、あまり応援したい気持ちにはなれない。2021/05/10
もにりくちなし
0
モームには珍しい純愛小説。翻訳がとても良いこともあり、一気に読ませます。2017/01/17