内容説明
シェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』、『アントニーとクレオパトラ』、『コリオレイナス』の三作を、ローマ史劇として分類させる共通の要因は何か。これが一貫して本書が追求する課題である。
目次
序章 プルタークよりシェイクスピアへ
1 ローマ史劇の劇的趣向
主人公たちの信条
終章 ローマ史劇と英国史劇の武将たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
96
「ローマにいだく賞賛と畏敬の念は、シェイクスピアを生んだエリザベス朝においても例外ではなかった」「しかもその波乱に富む興亡の歴史は又とない政治的教訓の素材として感じられていた」ローマ時代のプルタークが手掛けた話がまずフランス語訳となってアンリ二世に、その後にイギリスのノースにより英語訳ができ、シェイクスピアに影響を与えたらしい。経緯はよくわかったが、その内容まで踏み込むのはやめてしまった。 2021/11/28
viola
4
シェイクスピアのローマ史劇に関しての論文や専門書っていうのは、なぜだかあんまり面白いものがないような気がしますが、これは着眼点が他のものと異なっている分、面白い。シェイクスピアがプルタークのノース(英語)訳を用いて戯曲を書いたというのはさすがに知っていましたが、ノースの文体がかなりよく出来たものらしくて、いたくシェイクスピアが気に入ったらしく、ノース訳プルタークとシェイクスピアの邂逅は画期的な重大事であったとまで言わしめる始末。まだ翻訳すら読んでいませんが、ちょっとノース訳も読んでみようと思います。2012/08/06