出版社内容情報
子どもが自分本来のジェンダー・アイデンティティを選択し、適応していこうとする過程を歩むとき、さまざまな困難に悩まされます。
性別に違和感をもつ子どもたちと接していると、学校や社会の枠組みのなかでとても傷つき、不安に押しつぶされそうになりながら生活していることに気づかされます。問題は子どもにあるのではなく、社会の受け入れ方にあるのです。
性同一性障害という疾患があるから対応するのではありません。子どもが自分らしいジェンダー・アイデンティティを確立する課程で性別違和を表現したときに、周囲にいる大人たちがその気持ちを受け入れ、支え、安心して自己を表現できるような生活環境を保障することが重要です。
第1章 性別に対する違和感とは
症例1:トランスガール/症例2:トランスボーイ
第2章 性別違和の症状と特徴
1 「性」という言葉のもつ意味
2 診断名の変更─「性同一性障害」から「性別違和」へ
3 年齢によって異なる性別違和の症状と特徴
4 ジェンダークリニックの役割
第3章 歴史から見る性別違和
1 日本の歴史のなかでの性別違和
2 西洋の歴史のなかでの性別違和
3 医学の歴史のなかでの性別違和
4 現在の性別違和
第4章 性別違和と同性愛
1 なぜ同性愛の知識が必要なのか?
2 同性愛の歴史
3 同性愛の疫学
4 同性愛の子どもたちへの対応
第5章 性別違和の疫学と原因
1 疫学的調査─性同一性障害の発生率
2 原因─性染色体と脳の性分化
第6章 性に関する発達
1 成長と発達のちがい
2 子どもの発達特性は幅のある経過をたどる
3 子どもの性別認識は揺らぐ
4 主な発達理論
5 発達理論だけでは子どもの特性をとらえきれない
第7章 子どもたちのために学校・家族ができること
1 性別違和がある子どもにどう接すればいいのか?
2 性別違和を打ち明けられたら
3 当事者の家族
4 支援のためのサポート資源は?
5 学校にはどういった対応が求められるのか?
6 学校にはどのような準備が必要か?
7 支援を継続していくうえでの注意点
■全国のジェンダークリニック一覧
康 純[コウジュン]
大阪医科大学総合医学講座神経精神医学教室准教授。1990年大阪医科大学を卒業後、同大学神経精神医学教室に入局。同教室助手、講師を経て現職。性同一性障害診療の専門家として豊富な臨床経験をもち、性同一性障害の診療ガイドライン作成などにも携わっている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katoyann
tellme0112
いとう
T
空白少女