内容説明
チェルノブイリ原発事故がもたらした健康影響を検討した240余の研究を評価。原発事故による健康被害に適切な対策を講じるための必読書。
目次
第1章 はじめに
第2章 リクビダートル
第3章 乳児死亡率
第4章 遺伝性障害・催奇形性(奇形)
第5章 甲状腺がんとその他の甲状腺疾病
第6章 全がん・白血病
第7章 チェルノブイリ原発事故によるさまざまな疾病
第8章 政府および公的機関によるチェルノブイリ事故の影響の卑小化
著者等紹介
松崎道幸[マツザキミチユキ]
1950年稚内市生れ。北大医学部卒。深川市立病院内科部長。日本禁煙学会理事。医療九条の会・北海道副幹事長。北海道反核医師・歯科医師の会代表委員。厚生労働省「喫煙と健康問題に関する検討会」委員として「タバコ白書」刊行に協力。受動喫煙訴訟・北海道原爆訴訟で原告側証人として証言(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うらじ
5
WHOとIAEAが公表するデータは信頼できないという項を読んで、やっぱりそうなのかと暗澹たる気分に「……たとえば、WHOとIAEAの公式発表は、もともと被爆線量が高い集団から、将来がんと白血病で最大4,000人の超過死亡が発生するだろうとしている。しかしこの報告の根拠となったWHO報告書には、死亡者数は8,940人と記載されている。しかも、WHO報告書が引用した研究論文を読んでみると、1万人から2万5,000人の間であると記載されている。……彼らの発表には、真実味がまったくない」2014/08/27
壱萬参仟縁
2
今後何が日本人の健康を蝕むのか、参考にしたいもの。健康被害の症例と対策法が肝心だ。越境汚染だから、条約も絡んでくると思える。甲状腺癌は、ウクライナなら11万の子供、4万の大人が測定され、癌なら登録制度が設置された。これから日本もどんな制度が必要で、賠償は如何にあるべきか、多くの難題が想定される。監訳者は「被ばくが人間の体にどのような影響を与えるかは、じつはほとんど解明されていない」(150ページ)。文明の終着駅=原発事故は、恐ろしい社会だと思う。2012/09/11
coolflat
0
この本は、チェルノブイリ原発事故による放射線被曝の様々な人体による影響を、WHOやIAEAの公式発表でなく、放射線と患者・死者数との因果関係について言及している各種の科学研究を評価検討し、まとめたものである。この本を読むことで、因果関係を証明することが決して出来ないごく普通の病気が、余りにも多発しているということが理解できる。が、もっと理解を深めたいのなら…というより、『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』がお勧めで寧ろそれだけを読めばいい。この本と被っている所も多く、更に多くの知見を集めているからだ。 2013/04/03
シーサー
0
チェルノブイリ原発事故での健康被害が非常に詳しく書かれている一冊。 リクビダートルに起こった健康被害、そして死亡者、またリクビダートルと結婚して生まれた子供の被害が詳しく書かれています。 また、植物や動物での奇形やヨーロッパでの健康被害も詳しく書かれており、日本の今後起こるであろう健康被害の参考にもなるでしょう。 これを読めば、放射能による健康被害が決して甲状腺がんや白血病だけではなく、心臓病や糖尿病、精神病等その健康被害が本当に多岐にわたっていることがわかります。2012/06/02