内容説明
本書は、職場内のダイナミクスを精神分析的に探究するグループワーク「ワークディスカッション」に関する概論書である。近年、臨床現場の多様化に伴い、グループや組織を対象とした支援を行う機会が増えている。しかし、心理職はこれまで個人臨床に特化した理論や技法に依拠してきたため、こうした状況の変化に十分に対応できていない現状がある。ワークディスカッションは、そうした心理職の専門性に新たな光をもたらす方法論として、注目されてきているが、日本における実践報告はまだ少なく、その本質的な意義については十分に理解されているとは言いがたい。本書では、対人援助職のための訓練プログラムとして考案されたワークディスカッションには、組織内に内省的文化をはぐくむ社会療法的アプローチとしての側面があることを、自験例を交えながら、わかりやすく解説する。
目次
序章 ワークディスカッションとの出会い
第1部 理論編(ワークディスカッション概説;グループ理論 ビオンのグループ文化の概念を中心に;組織理論 組織を蝕む社会的防衛)
第2部 実践編(グループの進展を阻む社会的防衛とファシリテーターの役割;ワークディスカッショングループにおけるコンテインメント機能;組織文化への精神分析的アプローチ;ワークディスカッショングループ立ち上げについて;ファシリテーターは何をファシリテートするのか)
第3部 番外編(参加者の個人的な要因をどのように統制するのか 原子価の問題;がん患者のこころの痛みを抱えること;キャンセル時に患者不在のセッションを設けることの意義について)
著者等紹介
山村真[ヤマムラシン]
2008年、文教大学大学院人間科学研究科臨床心理学専攻修士課程修了。臨床心理士、公認心理師、日本精神分析学会認定心理療法士。現在、くわな心理相談室に所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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