内容説明
ケースフォーミュレーション(事例定式化)とは、クライエントが抱えている問題について、心理学的理論に基づいて仮説を提供することである。それは、クライエント個人の経験や人間関係、社会環境から当人が形成した意味を踏まえて協働して作られる「ベストな推論」であり、問題解決に向けて大いに役立つものとなる。本書では、成人と子どもの2つの共通ケースについて、認知行動療法、精神力動的アプローチ、システム論、ナラティブ・セラピー、社会的不平等、パーソナルコンストラクト心理学の6つの立場からのアプローチによる定式化の実際が示される。続く章では、複数のアプローチを統合した定式化、チームによる定式化の利用、身体的ヘルスケア領域での定式化について述べられ、最終章ではそれまでの内容を整理して俯瞰した視点から定式化について総括する。代表的な心理学派の概要や介入法を学びながら、クライエントの立場に沿ったケースの多層的な理解が得られる対人支援職のためのスタンダードテキスト。
目次
第1章 定式化のあらまし
第2章 認知行動療法におけるケースフォーミュレーション―原則重視のアプローチ
第3章 精神力動的定式化―表に現れていないものを見る
第4章 システム論的定式化―家族のダンスをマッピングする
第5章 定式化とナラティブ・セラピー―異なるストーリーを語る
第6章 社会的不平等の影響を再定式化する―パワーと社会的公平
第7章 パーソナル&リレーショナル・コンストラクト心理学における定式化―クライエントの目を通して世界を見る
第8章 理論における統合的定式化
第9章 実践における統合的定式化―力動的な多層アプローチ
第10章 定式化をチームで活用する
第11章 ヘルスケアの現場で統合的定式化を利用する
第12章 定式化についての議論や討議
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