内容説明
脳梗塞を発症し、高次脳機能障害の診断を受けてから八年―当事者が自身の発症からこれまでの経過を辿り、長年この領域に関わってきた心理士と対話する中で見えてきたのは、症状そのものだけではなく、症状に伴う当事者の不自由感、心理面を重視した支援について考えることだ。障害理解と対策・工夫にたどり着くまでの当事者ならではの思考、多くの当事者たちと交流する中で発見した視点が、見えづらい障害の輪郭を浮かび上がらせる、対人援助職や当事者・家族も必読の高次脳機能障害支援論・到達点。
目次
1 当事者の心理を知る(対談の前に―発症後の心理的推移;情報処理速度の低下;注意障害;情動の脱抑制;記憶力の低下;易疲労)
2 不自由な脳は続く(障害を理解する;症状の回復について;当事者の個人的要因;高次脳機能障害心理支援の最前線)
著者等紹介
鈴木大介[スズキダイスケ]
文筆業。1973年千葉県生まれ。子供や女性、若者の貧困問題をテーマにした取材活動をし『最貧困女子』(幻冬舎)、『ギャングース(漫画原作・映画化)』(講談社)、『老人喰い』(ちくま新書・TBS系列にてドラマ化)などを代表作とするルポライターだったが、2015年(四一歳)で脳梗塞を発症して高次脳機能障害当事者に。その後は高次脳機能障害者としての自身を取材した闘病記『脳が壊れた』、『脳は回復する』(いずれも新潮新書)や夫婦での障害受容を描いた『されど愛しきお妻様』(講談社)などを出版し、援助職全般向けの指南書『「脳コワさん」支援ガイド』(医学書院・シリーズケアをひらく)にて第9回日本医学ジャーナリスト協会賞大賞を受賞
山口加代子[ヤマグチカヨコ]
横浜市総合リハビリテーションセンターで臨床心理士として高次脳機能障害の当事者・家族の支援に関わり、現在は二カ所のリハビリテーションセンターのアドバイザー、リハビリテーション心理職会顧問、日本高次脳機能障害友の会顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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