内容説明
1985年3月のある晩、ノルウェー北極圏の都市トロムソで、精神科医トム・アンデルセンがセラピーの場の“居心地の悪さ”に導かれ実行に移したある転換。当初「リフレクティング・チーム」と呼ばれたその実践は、「二つ以上のコミュニケーション・システムの相互観察」を面接に実装する会話形式として話題となる。しかし「自らの発した声をききとり、他者にうつし込まれた自身のことばをながめる」この会話は、より大きな文脈の探求を見据えた“開けゆくプロセス”であった。自らの実践を「平和活動」と称し、フィンランドの精神医療保健システム「オープンダイアローグ」やスウェーデンの刑務所実践「トライアローグ」をはじめ、北欧から世界中の会話実践を友として支えながら練り上げられたアンデルセンの会話哲学に、代表的な論文二編と精緻な解説で接近する。
目次
第1章 その前のこと リフレクティングへの歩み(精神科医になるまで;トロムソでの最初の実践;二つの出会い)
第2章 リフレクティング・チーム臨床実践における対話とメタ対話
第3章 その間のこと―リフレクティング・チームからリフレクティング・プロセスへ(その間の出会い;その間の思索)
第4章 リフレクティング・トークといってもいろいろ―これが僕のだ―第5章 トム・アンデルセンの間と場 二〇二二年のリフレクト(リフレクティングの間;リフレクティングの場;風土としてのリフレクティング)
著者等紹介
アンデルセン,トム[アンデルセン,トム] [Andersen,Tom]
1936年5月2日、ともに美術教師であった両親の三人きょうだいの末っ子としてノルウェー南部で生まれる。1961年オスロ大学医学部を卒業。リレハンメルの病院の外科部門で一年間を過ごした後、ノルウェー北部で一般医として地域医療に従事。1965年からアスガルド病院で精神医学の専門教育を受け、1973年よりトロムソ大学に勤務。1981年より同大学社会精神医学教授。1985年3月、家族療法の実践の中でリフレクティング・チームと呼ばれる新たな方法を創出し、世界中の臨床家の注目を集める
矢原隆行[ヤハラタカユキ]
1968年宮崎県生まれ。1991年九州大学文学部卒業。2000年九州大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、熊本大学大学院人文社会科学研究部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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