内容説明
「子どもの精神分析的セラピストになること」とはどういうことか?そこには、心に傷を受けた子どもたちの「言葉にならない、声なき声」を感じ、「目に見えないものを見ていく力」を養わなければならず、その過程で「自分自身と対話」することが必然的に求められる。本書では、その実践と訓練を積み重ねてきた中堅世代のセラピストによって、子どもたちとの関わりを通して考え、感じてきた不安や混乱や葛藤、また、臨床家としての情熱ややりがい、信念につながる情動経験が生々しく語られ、子どもの精神分析的セラピストになるうえでの主要なテーマが論じられる。さらにベテラン世代の臨床家にも寄稿を募り、精神分析的セラピストのアイデンティティや資質、セラピストの教育・訓練についての貴重な論考が収載されており、子どものセラピストを目指す人や実践している専門家に限らず、子どもを通して自身が成長することに興味を持つ人にもお薦めしたい一書となっている。
目次
第1部 現代社会における子どもを取り巻く状況と精神分析的心理療法の意義(乳幼児と子どもを廻る環境―エディプスなき現代社会;新しい思春期モデル―ポスト・クライン派によるデジタル・ネイティブ時代の臨床思考)
第2部 実践と訓練、そして情熱(情熱は苦しみではなく、立ち上がってきた歴史が生む;子どもの心との出会い―内的な子どもとの対話を積み重ねて;指定討論;ディスカッション)
第3部 出会いと変化、そしてやりがい(変化を知りたい貪欲さとそこに求められる繊細さ;年月を重ねての変化と出会い、そしてやりがい;指定討論;ディスカッション)
第4部 自分を生きることとセラピストになるということ(自分事としての経験から学び考え続けること;臨床と子育ての“両立”を超えた何かを目指して―女性心理士の分析体験;セラピストはいつからセラピストなのか?)
第5部 子どもの精神分析的セラピストを目指す人たちに向けて(日本における子どもの精神分析的セラピスト育成の現状と課題;子どもの精神分析的セラピストに求められるもの)
感想・レビュー
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なっしー