出版社内容情報
前著『仏教精神分析―古澤平作先生を語る』(2016)に続き、本書においても、古澤の高弟であった永尾によって、近代の精神療法と仏教との関連(特に親鸞の心、フロイトの心、念仏、内観など)について多くのテーマが語られることで“古澤平作“の素顔が明らかにされる。
驚くべきことに古澤平作は晩年、自由連想とともに念仏を称えるようにと説いていた。そして、人間の計らいを一切なくし、無作為に「ありのまま」をいただく姿勢にこそ治療としての重きを置いていた。
人生そのものの解決としての「阿闍世コンプレックス」の克服、臨床場面における直感・直観やコンパッション、スピリチュアリティ(日本的霊性)、外と内の中間相で自然に物事が成立する中動態の世界、といった近代精神療法にも通じる概念などが、仏教に通底する多くの知見にもとづいて論及される。
またNHKラジオ『宗教の時間』において「精神分析と仏教」のテーマで放送された永尾の対談を掲載し、さらに宗教学・哲学の分野から岩田文昭による解説も収録した。
永尾 雄二郎[ナガオ ユウジロウ]
著・文・その他
クリストファー・ハーディング[クリストファーハーディング]
著・文・その他
生田 孝[イクタ タカシ]
著・文・その他
内容説明
「親鸞の心と精神分析の関係」―人生そのものの解決としての阿闍世コンプレックスからの解脱・解放とは?日本的霊性、コンパッション、治療における直観とは?仏教と精神分析の通底するさまざまな題目が語られる。
目次
1 らしくなる 一如実相
2 懴悔 阿闍世コンプレックスよりの解放 知恩報徳
3 純粋感情 無作為の作
4 人それぞれ 特殊の機 女性らしさ
5 自然の道理 自ずからなる 中動態
6 感応療法 円融無碍
7 近代の精神療法
8 歓喜 拝む心 永遠と現在
9 宗教の時間「精神分析と仏教」
解題 阿闍世コンプレックスの母親像―その仏教的背景について
解説1 古澤平作‐永尾雄二郎‐金子大榮―精神分析と仏教をめぐって
解説2 日本の精神分析と仏教―一つの関係付け