出版社内容情報
アートセラピーによる治療は,クライエントの成長につながる有意義な機会を与える。しかし,アートの過程・関係性の状態・発達理論の複雑な相互作用を理解していくのは必ずしも容易ではない。
本書には,子どもの創造的な表現を理解し,その理解を治療に向けるために,効果的で人をひきつけるツールを開発する際の方略が多数掲載されている。
アートの発達・アートセラピー・子どもの発達に関する最良の文献を統合し,創造性を養い,関係性を成長させる,アート材料の有する力強い役割を強調している。理解の助けとなる多数の事例とアートの具体例によって,心理社会的理論・神経生物学的理論・愛着理論を説明し,愛着障害・不安・悲しみ・親の葛藤・経済的困窮・薬物依存・子どもの虐待・自閉症スペクトラム障害などへの実践的な応用を紹介する。
子どもに対するアートセラピーの詳しい用い方に関する,詳細な手引書を求める臨床家にとって非常に役立つガイドブックである。
子どものアートセラピーを実施する人へ
図表目次
第?部 アートの観点から見た子どもの発達
第1章 子どもの発達における言葉としての絵:理論的根拠
子どものアート表現:子どもの発達のスナップ写真
発達理論の重要性
破壊的感覚の表現と発達段階
絵画的発達:重要な理論家たち
アート表現と成熟
子どもの発達に関する心理学理論
子ども時代の防衛
ツールとしての理論的支持
乳児期:希望の感覚の基礎
第2章 子どもの成長を物語るアート作品
おそろしさとすばらしさの2歳
遊戯年齢:3?6歳
児童期中期:7?9歳
思春期前期(児童期後期)の子どもの線画的発達と防衛:9?12歳
適応手段としての防衛
まとめ
第?部 アートの観点から見た対人関係の発達
第3章 早期乳幼児期における絵画的言語
発達する脳
アートセラピーによる欠陥の修復
臨床的取り組みにおける早期の関係性段階の重要性
子どものアートセラピーにおける早期の関係性段階
進行中の研究:早期の発達とアートセラピーの理論と調査
早期経験の重要性
第4章 早期乳幼児期の人間関係のトラウマに関する絵画的言語
早期の自己:関係性の中の存在
早期の愛着における問題と治療
愛着についての研究
概念的枠組み
第?部 レジリエンスと脆弱性に関する絵画的言語
第5章 レジリエンス:挑戦に取り組む能力
保護要因とリスク要因
レジリエンスの育成
まとめ
変化する発達状態
第6章 脆弱性と変動する発達状態
混乱の程度,異なる場面,関連する介入
リスク要因,アートセラピー,治療目標
第?部 子どもと親への合わせ方
第7章 計画,実践に関すること,安全性
セラピストとクライエントの不安
安全性
秘密性の保証
構造の提供
指示の作成
質問について
アートセラピストの態度
まとめ
子どもから学ぶ方法
第8章 子どもとの取り組み・査定・情報取得
焦点づける必要性
初期のセッションでの一連のアート作品
子どもたちを査定する一般的指針
アートセラピーと促進する環境
第9章 親との取り組み・情報取得
過度の同一視の落とし穴
親とセラピストの関係:繊細な領域
初期の査定過程における親の関与
構造の明確化
まとめ
第?部 アートに基づく同調:修復の促進
第10章 メンタライゼーション,トラウマ,愛着とアートセラピーのナラティブ
発達・セラピー・共同体におけるメンタライゼーション
メンタライゼーションと発達する脳
アートセラピーのナラティブとメンタライゼーション
異なる事例における相対的な目標
頑強さの重要性
治療の段階
第11章 頑強さの構築:発達の崩壊の修復
10歳の少年「ロイド」
治療過程の概観
セラピストの関係性の様式
第12章 創造性,包み込むこと(コンテイン),セラピストの自己の利用
アート材料に対する態度
関係性に関する他の問題
行動の管理を通した包み込み
謎,曖昧さ,成長
監訳者あとがき
文献
索引
アネット・ショア[アネットショア]
著・文・その他
大野 裕[タカハシヨリコ]
監修/翻訳
高橋真理子[タカハシマリコ]
翻訳
内容説明
アートセラピーによる治療は、クライエントの成長につながる有意義な機会を与える。しかし、アートの過程・関係性の状態・発達理論の複雑な相互作用を理解していくのは必ずしも容易ではない。本書には、子どもの創造的な表現を理解し、その理解を治療に向けるために、効果的で人をひきつけるツールを開発する際の方略が多数掲載されている。アートの発達・アートセラピー・子どもの発達に関する最良の文献を統合し、創造性を養い、関係性を成長させる、アート材料の有する力強い役割を強調している。理解の助けとなる多数の事例とアートの具体例によって、心理社会的理論・神経生物学的理論・愛着理論を説明し、愛着障害・不安・悲しみ・親の葛藤・経済的困窮・薬物依存・子どもの虐待・自閉症スペクトラム障害などへの実践的な応用を紹介する。
目次
第1部 アートの観点から見た子どもの発達(子どもの発達における言葉としての絵:理論的根拠;子どもの成長を物語るアート作品)
第2部 アートの観点から見た対人関係の発達(早期乳幼児期における絵画的言語;早期乳幼児期の人間関係のトラウマに関する絵画的言語)
第3部 レジリエンスと脆弱性に関する絵画的言語(レジリエンス:挑戦に取り組む能力;脆弱性と変動する発達状態)
第4部 子どもと親への合わせ方(計画、実践に関すること、安全性;子どもとの取り組み・査定・情報取得 ほか)
第5部 アートに基づく同調:修復の促進(メンタライゼーション、トラウマ、愛着とアートセラピーのナラティブ;頑強さの構築:発達の崩壊の修復 ほか)
著者等紹介
ショア,アネット[ショア,アネット] [Shore,Annette]
アートセラピスト、スーパーバイザーであり、メリルハースト大学大学院のアートセラピー・カウンセリングプログラムの教員である。オレゴン州ポートランドで開業しており、現在、Art Therapyの編集・査読委員も務めている。25年以上の臨床経験を有し、アートセラピーの創造的課程について、発達・関係性の見地から、講演・著作を行ってきた
高橋依子[タカハシヨリコ]
1974年京都大学大学院文学研究科心理学専攻博士課程修了。現在、大阪樟蔭女子大学大学院人間科学研究科臨床心理学専攻教授。文学博士、臨床心理士、日本描画テスト・描画療法学会会長
高橋真理子[タカハシマリコ]
2014年米国コロンビア大学教育大学院TESOL Certificate取得。2016年京都大学大学院人間・環境学研究科共生人間学専攻博士課程修了。現在、関西学院大学非常勤講師・同志社大学嘱託講師。博士(人間・環境学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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