出版社内容情報
本書はメルツァーの自閉症臨床研究の成果である。これらは精神分析や自閉症の理解においても、重要な研究結果となるであろう。
本書はメルツァーによる自閉症臨床研究の成果をまとめたものである。
事例検討は何年もわたって行われ、また週4・5回のセッションの記録を記載しているので、精神分析だけではなく、自閉症の子どもの観察記録としてみた場合にも、貴重な資料となることは間違いない。
難解であるが、本書を読み進めることにより、自閉症自体がいったい何なのか、という問いを私たちに引き起こし、深い理解が促されるであろう。
精神分析の流れにおいても、自閉症の理解と治療的アプローチの流れにおいても、重要な研究文献となる一冊である。
セクションA 理論
第1章 探求の目的,範囲,方法
第2章 自閉状態およびポスト自閉心性の心理学
第3章 中核的自閉状態――ティミー
第4章 自閉症における原初の抑うつ――ジョン
第5章 自閉症における障害された生活空間の地理学――バリー
第6章 自閉症の残余状態と学ぶことへのその影響――ピフィ
第7章 幼児期自閉症,統合失調症,抑うつ状態における緘黙症:臨床精神病理学と言語学との相関関係
第8章 強迫機制全般に対する自閉症の関係
第9章 精神機能のパラメーター(媒介変数)としての次元性:自己愛組織との関係
【著者紹介】
●監訳者・訳者略歴
平井正三
臨床心理士。精神分析的心理療法士。1994年京都大学教育学部博士課程単位認定指導退学 1990年~97年 英国タビストック・クリニックにおいて児童青年心理療法の訓練を受ける。佛教大学臨床心理学研究センター嘱託臨床心理士及び京都光華女子大学助教授を経て、現在、御池心理療法センター代表、NPO法人子どもの心理療法支援会理事長、大阪経済大学客員教授を務める。
著書に、『子どもの精神分析的心理療法の経験---タビストック・クリニックの訓練』(金剛出版)、『精神分析的心理療法と象徴化---コンテインメントをめぐる臨床思考』(岩崎学術出版社)、『精神分析の学びと深まり---内省と観察が支える心理臨床』(岩崎学術出版社)など、監訳・共訳書に、メルツアー『夢生活』(金剛出版)、ビオン『精神分析の方法?U』(法政大学出版局)、タスティン『自閉症と小児精神病』(創元社)、アルバレズ『こころの再生を求めて』(岩崎学術出版社)、ラニャード&ホーン編『児童青年心理療法ハンドブック』(創元社)。
目次
A 理論(探究の目的、範囲、方法;自閉状態およびポスト自閉心性の心理学)
B 臨床上の諸発見(中核的自閉状態―ティミー;自閉症における原初の抑うつ―ジョン;自閉症における障害された生活空間の地理学―バリー;自閉症の残余状態と学ぶことへのその影響―ピフィー;幼児期自閉症、統合失調症、躁うつ状態における緘黙症:臨床精神病理学と言語学との相関関係)
C 本書で見出された知見の含み(強迫機制全般に対する自閉症の関係;精神機能のパラメーター(媒介変数)としての次元性:自己愛組織との関係
おわりに)