出版社内容情報
非行予防から地域生活支援まで。非行少年「立ち直り」の新しい流れを気鋭の実践家,研究者がレポートする。
社会的要請に対する根拠(エビデンス)に基づく説明責任と,少年の「立ち直り」において蓄積されてきた臨床の知の間で,非行臨床は岐路に立たされている。「理解しがたい非行」をアセスメントし位置づけながら,同時にそのレッテルを「ぼかし」,社会の中に少年の居場所を作り出さなければならない。本書には非行臨床に課せられたこの「モニター(監視)」機能と「リハビリテーション(立ち直り)」機能の相克への応答が集められている。
第?T部は司法による処遇と臨床的支援のコラボレーションについて,第?U部は非行の理解・予測から非行予防までさまざまなレベルのリスク・アセスメントについて,そして第?V部では「立ち直り」への根源的な問いから非行臨床のありうべき姿について,複数の立場からの理論と実践が報告される。
非行臨床の新しいうねりを,読者は本書を通して体感できるであろう。
【著者紹介】
生島 浩:福島大学大学院人間発達文化研究科教授
岡本吉生:日本女子大学家政学部准教授
廣井亮一:立命館大学文学部教授
内容説明
非行少年の「立ち直り」において蓄積されてきた臨床の知と、社会的要請に対する根拠に基づく説明責任の間で、非行臨床は岐路に立たされている。「理解しがたい非行」をアセスメントし位置づけながら、同時にそのレッテルを「ぼかし」、社会の中に少年の居場所を作り出さなければならない。発達障害への配慮が一般化し、法社会化が進歩するなか、本書には非行臨床に課せられたこの「モニター」機能と「リハビリテーション」機能の相克への新たな回答が集められている。
目次
第1部 ジャスティス・クライエントへの心理・福祉的アプローチ(ジャスティス・クライエントへの「司法臨床」の展開;知的障害のある非行少年への司法と福祉の協働した対応―オーストラリア・ビクトリア州の処遇実践の適用可能性;障害のある非行少年の司法手続と処遇について―法的観点から;矯正施設における知的障害者の処遇)
第2部 精神/発達障害と非行・犯罪臨床におけるリスク・アセスメント(非行リスクとしての障害と関連問題;学校における問題行動への対処と非行予防;触法・低年齢少年の非行の特徴―事例のメタ分析によるケースフォーミュレーションのモデル化;非行少年の当事者モデルによるアセスメント)
第3部 非行臨床の新潮流(非行臨床モデルの意義と課題;非行からの離脱とは何か―離脱にいたる心理プロセスモデルの提案;矯正教育の新潮流;非行少年の地域生活支援に向けて―沼田町就業支援センターにおける保護観察処遇)
著者等紹介
生島浩[ショウジマヒロシ]
1956年、東京都に生まれる。1979年、一橋大学社会学部を卒業。法務省に入省し、東京および横浜保護監察所の保護観察官等を経て、1992年筑波大学大学院修士課程教育研究科カウンセリング専攻修了。2000年、浦和保護観察所観察第一課長。現在、福島大学大学院人間発達文化研究科教授
岡本吉生[オカモトヨシオ]
1956年生まれ。1979年京都府立大学文学部を卒業。1980年家裁調査官補、1983年から1997年まで家庭裁判所調査官。1993年Mental Research Institute留学。1997年筑波大学大学院教育研究科修士課程修了。家庭裁判所調査官研修所研究員、埼玉県立大学助教授を経て、日本女子大学家政学部児童学科准教授
廣井亮一[ヒロイリョウイチ]
1957年新潟県生まれ。1981年、新潟大学法学部を卒業。1981年から1999年まで家庭裁判所調査官。以後、和歌山大学助教授、京都女子大学助教授を経て、立命館大学文学部・同大学院文学研究科教授。学術博士(大阪市立大学)、臨床心理士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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