出版社内容情報
《内容》 対人恐怖は,神経症レベルにとどまるものから,統合失調症やうつ病,さらには人格障害との関連を考えるべきものまで極めて多様な病態である。長い間,対人恐怖は,日本特有の病態であると考えられてきたが,1980年以降,欧米の診断基準(DSM,ICD)に社会恐怖,社会不安障害という概念が登場し,海外での事例や国際間での比較研究も数多く報告されるようになった。そして,現在問題となっている「ひきこもり」との関連により,社会不安障害,対人恐怖という病態は,個人や家族的要因だけでなく,社会病理的な視点からも注目を集めている。
本書は,長年「対人恐怖」の治療に携わってきた著者が自らの臨床的研究の成果を集大成したものである。多彩な病態を呈する対人恐怖,社会不安障害の概念と診断を整理し,多くの症例をまじえながら,治療面接の進め方,薬物療法のコツが詳しく解説されている。対人恐怖症患者の援助に携わる精神保健専門職には卓越した治療ガイドラインであり,またこの病態に悩んで普通の日常生活を送れなくなっている当事者やその家族にとっても恰好の指導書といえよう。
《目次》
序論:変容する社会と青年期心性
第I部 概念と診断
第1章 対人恐怖の概念と臨床像
第2章 対人恐怖から社会恐怖へ
第3章 社会不安障害(SAD)の概念および定義
第4章 対人恐怖と不安――ひきこもりの病理
第5章 醜形恐怖の病理とひきこもり――発達心理学的考察
第II部 治療の進め方
第6章 対人恐怖の外来精神療法――治療のポイント
第7章 対人恐怖の外来薬物療法――症例を中心に
第III部 臨床の実際
第8章 中年サラリーマンにみられる会議恐怖について
第9章 思春期にみられる神経性頻尿――対人恐怖との類似について
第10章 対人恐怖の後に統合失調症を発症した症例(1)――症状の特徴と発病状況について
第11章 対人恐怖の後に統合失調症を発症した症例(2)――精神療法が奏功した1症例
第12章 対人恐怖の後に統合失調症を発症した症例(3)――非定型群について
第13章 「自己の発する音」に悩む症例
第14章 独語妄想の臨床的特徴――統合失調症の症例
内容説明
本書は、長年「対人恐怖」の治療に携わってきた著者が自らの臨床的研究の成果を集大成したものである。多彩な病態を呈する対人恐怖、社会不安障害の概念と診断を整理し、多くの症例をまじえながら、治療面接の進め方、薬物療法のコツが詳しく解説されている。対人恐怖症患者の援助に携わる精神保健専門職には卓越した治療ガイドラインであり、またこの病態に悩んで普通の日常生活を送れなくなっている当事者やその家族にとっても恰好の指導書といえよう。
目次
第1部 概念と診断(対人恐怖の概念と臨床像;対人恐怖から社会恐怖へ;社会不安障害(SAD)の概念および定義
対人恐怖と不安―ひきこもりの病理
醜形恐怖の病理とひきこもり―発達心理学的考察)
第2部 治療の進め方(対人恐怖の外来精神療法―治療のポイント;対人恐怖の外来薬物療法―症例を中心に)
第3部 臨床の実際(中年サラリーマンにみられる会議恐怖について;思春期にみられる神経性頻尿―対人恐怖との類似について;対人恐怖の後に統合失調症を発症した症例(1)―症状の特徴と発病状況について ほか)
著者等紹介
笠原敏彦[カサハラトシヒコ]
昭和22年に岡山県にて出生。徳島大学医学部3年生(昭和44年)の時、大学紛争を機会に横浜から船で日本脱出、放浪の旅に出る。ロシア、ヨーロッパ、アフリカ、中近東、インド、東南アジアの約30カ国を陸路づたいに約1年間貧乏旅行。昭和48年に医学部卒業。北海道立向陽ケ丘病院(網走)に7年間勤務。地域精神科医療に従事。昭和55年から北海道大学医学部附属病院に15年間勤務。統合失調症、うつ病、神経症、思春期事例など精神科臨床全般の診療と研究に従事。大学病院の精神科外来医長を10年間務める。昭和62年より北海道大学医学部講師、平成5年より北海道大学医学部助教授となる。(北大学生相談室、札幌市教職員相談室、札幌家庭裁判所などの相談員を兼務)平成7年に国立国際医療センター精神科医長。(北海道大学医学部、徳島大学医学部、埼玉医科大学の非常勤講師を兼任。)(平成8年12月のペルー日本大使公邸占拠事件、平成11年8月のキルギス共和国邦人誘拐事件、平成13年9月の米国同時多発テロ事件では、厚生労働省から現地に派遣され人質や家族のメンタルヘルス支援活動に従事。)平成17年に笠原メンタルクリニックを開設
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