内容説明
戦後最大の教育改革ともいえる「スクールカウンセラー」の学校配置により、これまで教師によって行われてきた学校教育相談にスクールカウンセラーが参入することになった。一人ひとりの生徒が形成する学校コミュニティにおいて生徒指導の困難が叫ばれて久しい。本書は、学校現場で働く心理臨床家のために、学校という臨床現場を知り尽くした著者らが、臨床心理学的コミュニティ援助の実際をわかりやすく解説した実践的指導書である。プロの職業人としてのスクールカウンセラーは、子どもの臨床心理に関しての高度に専門的な知識・経験を備えた、コーディネーター的技術が求められる。本書では、学校という独自の場ゆえの特徴(学校風土)を考慮し、子どもの発達上の問題を適切にアセスメントした上で保護者や教師との共同作業として、臨床心理学的な風土をつくりあげていくことを目指している。教師への支援(コンサルテーションやスーパービジョン)を重視し、不登校、いじめ、非行へのアプローチ、守秘義務の問題、さらにピアサポート、保護者面接、緊急事態への危機介入、近年増加する軽度発達障害児への教室内における援助等、あらゆる課題への対応が事例を通して解説されている。現場教師の経験を持ち、臨床心理士としてスクールカウンセリングを行っている編者らによる学校臨床最前線からの緊急報告である。
目次
第1部 基礎編―スクールカウンセリングとは(スクールカウンセラーの役割と学校支援の実際;スクールカウンセラー活用事業の経過;学校臨床心理士の外部性と専門性;スクールカウンセラーの仕事―常勤と非常勤;校内の組織づくりと効果的な運用)
第2部 事例編―スクールカウンセリングの現場から(不登校女子中学生の交換ノートによるサポート―生徒個人の支援と担任教師との連携;人生を悩む不登校男子中学生の支援―ささやかな関心を寄せ続けること;学校臨床心理士と発達障害児;落ち着きがない生徒―不適応行動の移り変わり;保護者面接を通して事態が動いた事例 ほか)
著者等紹介
平松清志[ヒラマツキヨシ]
岡山大学教育学部卒業、兵庫教育大学大学院博士課程修了。公立小学校教諭、山陽学園短期大学助教授を経て、現在、ノートルダム清心女子大学人間生活学部児童学科教授。臨床心理士、博士(学校教育学)
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