内容説明
家庭とは、外界の圧力から守ってくれる安全地帯であって欲しいという思いから、われわれは家庭内に暴力が存在すること自体に目を塞いできた。殊に夫婦間暴力は、暴力的配偶者（バタラー）と被虐待女性（バタードウーマン）の親密な共依存関係の中に深く隠蔽され、いまだ名付けられることなく、われわれの社会にも密かに根をおろしている。本書に登場するのは、愛を託した男性に殴打され、罵言を浴びせられ、自尊心を剥ぎ取られた、４０名に及ぶバタードウーマンたちである。家庭内における女性虐待研究の先駆者であるウォーカー博士は、詳細なインタビューによって、その生々しい呻き声を伝えている。さらに、暴力サイクル説と学習性無力感の概念によって、このような虐待関係を維持してしまうバタードウーマンの心理を明解にし、彼女たちがバタラーの支配から脱出した先に見える「新しい明日」を描いている。
目次
プロローグ アンの話
第１章 神話と現実
第２章 学習性無力感の精神社会理論
第３章 暴力のサイクル理論
第４章 身体的虐待
第５章 性的虐待
第６章 経済的剥奪
第７章 家族の不和
第８章 社会的虐待
第９章 セイフハウス（避難所）
第１０章 法機関および医療機関による対処方法
第１１章 心理療法
第１２章 新しい明日
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゃーこ
13
読むことによってひどいトラウマが残った作品。有名な「学習性無力症」について初めて提唱したレノア・ウォーカーの著作はジェンダー関連書籍の方々で紹介されている。2012/11/05
