内容説明
本書は、スイスにおいてさまざまな理論と技法を柔軟に取り入れて実践と教育にあたっているベルン大学のベッカー教授を招き、わが国で同じくさまざまな試みを続けている研究者・臨床家が集まり、新しい精神分裂病治療のあり方を模索するために行なわれた国際シンポジウムが基となって生まれた。ベッカー教授が精神分裂病の疾患モデルとリハビリテーションの考え方を示し、さらにわが国の現状を踏まえて、生活技能訓練やEE研究とそれに基づく心理教育アプローチおよびそれらの統合を目指すアプローチなど、さまざまな心理社会治療プログラムをわが国に導入し実践を続けている第一人者が、そのアウトラインから臨床的有効性および今後の可能性までを詳述した本書は、今日の分裂病治療のあり方と今後の方向性を明確に示す。
目次
システム障害としての精神分裂病
慢性精神分裂病者のためのリハビリテーション・プログラム
日本における最近の精神医療の動向
精神分裂病の統合心理治療プログラム
精神分裂病の社会生活技能訓練
日本におけるEE(Expressed Emotion)尺度の適用可能性とEE形成要因
慢性分裂病の家族への集団的心理教育