内容説明
登校拒否(不登校)は、社会・学校・家族・個人というそれぞれのシステムが複雑に絡み合っているといわれるが、家族への介入はその中でもっとも実践的・現実的であり、そのために多くの技法が導入され、わが国の実践者によってさまざまに応用・発展されてきた。本書によせられた事例は、いずれもわが国の家族構造や社会的条件にあわせて独自の工夫と発展を試みたものであり、さまざまなかたちをとる登校拒否に対して、さまざまな方法論があることを示している。ここにはわが国の家族療法の地平が示されるとともに、登校拒否にかかわる教育・心理・医学などの関係者に多くの示唆を与えてくれるものである。
目次
家族療法を通してみた子供の不登校(鈴木浩二)
一登校拒否少女の家族療法(牧原浩)
登校拒否児の家族療法―両親のみへの治療的関わり(辻隆造;鈴木浩二)
M家族の家族療法(広瀬恭子;田頭寿子)
不登校に対する家族療法―IPの行動化が著しく、両親がコントロール不能に陥っている事例―(生島浩;金有淑)
構造的アプローチを中心とした登校拒否の家族療法(東豊)
登校拒否児に対するエリクソン派アプローチ(宮田敬一)
「象徴的核づくり」による登校拒否の家族療法事例―動作訓練と粘土を媒介として―(亀口憲治)
不登校にはじまった家庭内暴力の家族療法から(中村伸一)
息子の「登校拒否」「閉じこもり」「無為な生活」に悩む家族に対する家族療法の経験(鈴木和子;鈴木浩二)
O家族の家族療法(Cathy Colman;園昌和)