内容説明
精神分析療法と心身症治療で名高い著者は、精神分析や行動療法などの理論や技法にとらわれない独自の行動制限療法によって、摂食異常症の治療に目覚ましい治療効果を上げてきた。この型破りな技法を公開するにあたって、著者は治療者・患者間の具体的な言葉のやりとりをありのままに伝えることを思いたった。従来の成書や論文に多く見られるような治療者側から見た治療経過や理論を説く代りに、治療者および治療経過を患者がどのように受けとめているかという視点を導入して、著者独自の摂食異常症の治療技法の実際とその過程を詳述した、ユニークな書である。
目次
第1章 摂食異常症患者との出会い
第2章 「行動制限療法」について
第3章 摂食異常症患者のもつ“枠”の病理とその緩和
第4章 器官(胃、腸)の機能、身体感覚、感情、言葉(記憶)の甦り
第5章 摂食異常症患者に治療者はどのように見えているのか
第6章 摂食異常症患者を好転に導く治療状況
第7章 患者が治療者を憎むことと、拒否することの違い
第8章 治療状況及び治療者が、患者に与える刺激の恒常性について
第9章 摂食異常症患者の中の「二人の自分」
第10章 患者が行動制限を守ることの意味
第11章 摂食異常症患者の治療における看護婦の役割
第12章 治すことと、治ること
第13章 心身症の治り方
第14章 摂食異常症患者の“心理療法”を伝えることの難しさ
第15章 摂食異常症患者は一般に考えられているほど治りにくくなく、また学会で発表されているほど治ったままではいない