出版社内容情報
「隠れキリシタンの島」として知られる長崎県平戸島。実際には、多様な信仰が存在している。
キリスト教は二系統ある。一つは16世紀後半のイエズス会の布教によるキリシタン信仰、もう一つは19世紀後半以降のパリ外国宣教会の再布教によるカトリック信仰。これに神道や仏教を含む在来信仰が融合し、島の東西南北で個性ある地域を育んだ。
そこに島ゆえの特徴がみられる。平戸島の宗教と地域性を読み解くことで、島の多様性の理解に迫る。
目次
第1章 北部地域―城下町とキリスト教(ヨーロッパからの布教;古地図のなかの平戸;海外との交易と大小の港;特異な平戸城下町;近代のカトリック移住;宗教を選ぶ決断―油水と田助在)
第2章 南部地域―在来信仰と農村集落(古代からの要地―志々伎山;中世の北部勢力への統合;在来信仰の多彩な宗教者;近世平戸藩の行政と集落;農村社会の宗教―野子と大志々伎)
第3章 中部西岸地域―キリシタンの記憶(戦国期のキリスト教布教;キリシタンの里―根獅子;信仰組織と藩の監視;オラショと山への崇拝―安満岳;集落景観と信仰の場所―飯良)
第4章 中部東岸地域―カトリックの定着(幕末から維新への再布教;海を越えた移住―外海と五島;移住を支えた生業と食文化;海を舞台とした経済活動;宗教を棲み分けた社会―宝亀;カトリックの人々の暮らし)
著者等紹介
今里悟之[イマザトサトシ]
名古屋大学環境学研究科教授。1970年大阪府生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。専門分野:農村地理学、民俗地理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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