内容説明
本研究は、人間のもつ価値観や行動が同質的、すなわち一様としては捉えにくい性質をもつことを地理学の立場から明らかにしようと試みたものである。そのために、人々から「嫌われ」たり「好まれない」との評価を受けた空間を研究対象とし、そのような主観的な評価を受けた具体的場と評価主体である人間との関係を考察した。これは「好まれない空間」を通じての、人々の主観的判断に対する地理学的追究ということができよう。
目次
研究目的および方法
相対的環境の概念と「好まれない空間」
罪に関連した空間―行刑施設に対する認識像の相対性を事例として
凶兆に関連した空間(家相書において凶相とされる方角の相対性を事例として;寸法を尺度とした吉凶判断の欠如とその相対性を事例として)
邪霊に関連した空間―民俗行事にみるムラ境の相対性を事例として
危険性に関連した空間―海水浴場における岩場と波の価値をめぐる相対性を事例として
不快感に関連した空間―熱気浴にみる衛生観の相対性を事例として
他界に関連した空間―忌言葉にみる他界像の相対性を事例として
結論
著者等紹介
小口千明[オグチチアキ]
1953年山梨県に生まれる。1984年筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得退学。現在、筑波大学歴史・人類学系助教授。文学博士
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