出版社内容情報
17世紀初頭から20世紀初頭まで,ユーラシア東部の広大な地域を支配した「清」の時代の意味を再考する論集。満(マンジュ)・漢・蒙(モンゴル)・蔵(チベット)・回(ウイグル)をどのように統治していたのか? 従来,西洋史や漢民族の視点から論じられてきた「大清国」を,東北アジア史/ユーラシア史の視点から捉え直す意欲的な1冊。
【目次】
第1章清朝による明朝統治文化の継承
-行政制度と官僚機構の視点から-
(大野晃嗣)
はじめに
1. 明朝の行政制度と官僚機構概観
2. 清朝「独自」の制度への追加的理解-軍機処と奏摺制度-
3. 初期マンジュ国家と「中国式行政制度」に関する問題点
4. 捐納制度の明朝から清朝への継承
むすび
第2章 チベット仏教世界の成立と展開
(石濱裕美子)
はじめに
1. 文殊皇帝の時代
2. チベット仏教世界の近代の復興(ダライラマ13 世の清皇帝との決別/ジェブツンダムパ8世の清皇帝との決別/ジェブツンダンパ8世と妃の王権像)
むすび
第3章 モンゴル史におけるマンジュ時代
(岡 洋樹)
はじめに
1. 大清国のモンゴル統治
2. 皇帝とモンゴル
3. 歴史認識
4. 大清国統治下におけるモンゴルの変容
5. 近代モンゴル民族形成における清代の意義
むすび
第4章 清朝統治下の東トルキスタンにおける“マンジュの時代”
(小沼孝博)
はじめに
1. 清による征服と統治
2. オアシス統治の政治空間
3. 社会の様相
4. ムスリム有力者の自己表出
むすび
第5章 中央ユーラシアのなかのマンジュ大清国
(杉山清彦)
はじめに
1. 中央ユーラシアのなかのマンジュ人と大清国(ジュシェン~マンジュ人の社会/マンジュ国から大清国へ/中央ユーラシアの大清国へ)
2. マンジュ大清国にみる中央ユーラシア的性格とその系譜(八旗制の中央ユーラシア的特徴/八旗制独自の特徴とその淵源)
3. マンジュの中央ユーラシア的性格の歴史的意味(マンジュ人の農牧ハイブリッド性の強み/モンゴル統治のしくみとの親和性)