内容説明
著者は土壌学の専門家として、北海道の農業を舞台に、土地の生産性向上の面から土壌と地形の調査研究を活かそうと取り組んできた。30年間にわたるテンサイの収量分布図を作成し、この地図を用いて、段丘土壌がどのように生産性を左右してきたのかを分析した。また、基本土壌分類を各分野で利用できるように加工し、それぞれの土壌類型区分を試み、それを用いて具体的な土壌の改良法に適用し、作物生産性の向上に寄与してきた。段丘地形の土壌がどんな特色をもち、どのように分布しているかを知って、それを農業に活かす。こうした姿勢は、土壌学を学ぶ人には、地形と土壌との関係にも関心をもって学んでほしい、役に立つ応用のできる学問が育ってほしいと著者はそのように考え、十勝平野をどう活かすかに取り組んだ。本書では、土壌図や土壌基本分類など基礎研究を活かすためには、現場への橋渡しという応用研究が必要なことを具体的に例を挙げて詳述する。
目次
1 段丘地形の形成と火山灰および土壌の分布(十勝平野の段丘地形の形成と地形区分;段丘地形と火山灰分布 ほか)
2 段丘土壌の特徴と作物生産性向上対策(段丘土壌の特徴と作物生産性;基本土壌分類図から応用土壌図への編成とその利用)
3 農業開発の変遷と景観資源の変化(農業開発の変遷と段丘地形;農村における景観資源の変化 ほか)
4 段丘地形における農業気象災害と土壌保全(土壌凍結、融解と段丘地形;風食発生と段丘地形 ほか)
5 段丘土壌を理解するための資料と調査(段丘地形に関する資料;段丘土壌に関する調査)
著者等紹介
菊地晃二[キクチコウジ]
1938年秋田県生まれ。1963年帯広畜産大学卒業。農学博士。北海道立農業試験場、帯広畜産大学教授を経て、現在、(株)ズコーシャ技術顧問。1982年日本土壌肥料学会賞。1987年北海道草地研究会賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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