内容説明
1980年代における変動地形学の成果をまとめ、今後の研究課題を明らかにするために、日本地理学会秋季学術大会シンポジウム「変動地形学―成果と課題―」が1988年9月27日に愛知教育大学で開催された。本書はこのシンポジウムで発表された報告をもとにした論文集である。
目次
1 序説:変動地形研究
2 トレンチ法による活断層調査の現状と展望
3 断層による山脈の隆起
4 四国山地の第四紀地殻変動と地形
5 中部山岳地域における山地形成の時代性 山はいつ高くなったか?
6 大阪盆地の形成史
7 伊豆・小笠原海溝の変動地形とくに海溝海側斜面の断層地形について
8 活断層からみたインド・ユーラシアプレート衝突境界の地殻変動
9 旧汀線高度からみた東北日本弧北部の広域地殻変動
10 ニュージーランド北島における海成段丘の研究
11 展望:日本における変動地形研究
著者等紹介
岡田篤正[オカダアツマサ]
京都大学理学研究科地球惑星科学専攻教授。1942年、岡山県生まれ。東京大学大学院理学系研究科地理学専攻博士課程修了。理学博士。専門は地形学、第四紀学
森山昭雄[モリヤマアキオ]
愛知教育大学教授。1942年、東京都生まれ。東京都立大学大学院理学研究科地理学専攻博士課程修了。理学博士。専門は地形学
米倉伸之[ヨネクラノブユキ]
東京大学名誉教授。1939年、東京都生まれ。東京大学大学院数物系研究科地理学専門課程博士課程中退。理学博士。専門は自然地理学、第四紀学
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感想・レビュー
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イツシノコヲリ
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現在、能登半島地震でタイムリーな話題である海成段丘をはじめとする変動地形を扱っている論集で1980年代の日本地理学会のシンポジウムを元にしている。四国山地の隆起量を推定するのに、室戸岬をはじめとする海成段丘の旧汀線から考察している。ニュージーランドの海成段丘の論考は断層ごとに隆起する海成段丘を比定していて、能登半島地震の地形での影響を分析するうえで重要な論考だと思った。他にも中央山地の隆起が3つの山脈ごとに異なることや大阪平野は1500mほども沈降しているなど様々なことが学べた。2024/02/27