内容説明
この本は、1985年6月22日に、書名と同じ標題と副題のもとに、日本学術会議講堂で行われたシンポジウムの内容にもとづいて編集されたものである。第四紀学では、数十・数百・数千・数万・数十万・数百万年前という地球の過去の諸現象が研究されているが、このシンポジウムは、過去研究の成果にもとづいて、日本の自然と人類に関する将来予測について討議しようという、はじめての試みであった。今後、第四紀研究は地球の未来予測の科学の性格を強めてゆくであろうが、本書は日本における、その種の研究に関する最初のリポートである。
目次
1 将来予測と第四紀研究(貝塚爽平)
2 第四紀の気候変動からみた将来の気候変動(鎮西清高)
3 第四紀の海面変化とその将来の予測(米倉伸之)
4 気候変化と将来予測―最終氷期の気候変化と百年・千年・万年後の気候予測の諸問題(吉野正敏)
5 百年・千年・万年の未来予測―地震と地殻変動(松田時彦)
6 火山の爆発的活動史と将来予測(町田洋)
7 海岸線の変遷(小池一之)
8 最終間氷期以降の植生史と変化様式―将来予測に向けて(辻誠一郎)
9 日本の土壌の過去・現在・未来(松井健)
10 人類―この予測不可能なるもの(香原志勢)