内容説明
忘れ去られてきた棚田が、近年瑞穂の国であるわが国土の原風景などともいわれ、光を当てられるようになった。こうした動きは、棚田が米を取り囲む厳しい生産環境や、担い手の高齢化などにより放棄され、山村を荒廃させる一因になっている危機的状況に警鐘を鳴らそうとする意図から生まれたものである。そして、農民の経済的効率を無視した多大の経費と労力により造成された「農民労働の記念碑」、「日本のピラミッド」ともいわれる歴史的文化遺産としての価値の評価、日本の原風景ともいわれる美しい景観への郷愁や環境を保全する立場、あるいは農水省の環境を視野に入れた具体的な助成事業の展開などが、棚田への関心を一層高めているのである。
目次
棚田の起源とその用語
棚田についての先行研究
棚田の分布と地形との関係
棚田の形態と特質
棚田の潅漑施設と水利慣行
棚田の機能
棚田の耕作放棄
棚田の保全
棚田保全への取組み
保全方法の比較と検討
保全方法の比較と検討
棚田オーナー制の展開
棚田オーナー制についての比較検討とその評価