内容説明
20世紀を代表するイギリスの絵本作家、挿絵画家のエドワード・アーディゾーニの、幼少期から青春の日々を描いた自伝です。ベトナムのハイフォンで5人きょうだいの長男として生まれ、5歳のときにイギリスの片田舎の村に母や妹たちと移ってきたところから、代表作『チムとゆうかんなせんちょうさん』が出版され、成功を収めるまでの前半生が、ふんだんなペン画の挿絵入りで語られます。母方の曾祖父が絵の達者な船長だったこと、母が外国にいる父と暮らすために何年も家を留守にし、祖母と妹たちと暮らした日々、寄宿学校でいじめられっ子だったこと、港で遊んで船員たちに船に乗せてもらったことなど、後の作品とも繋がる少年時代の日々がリアルに描かれていて、興味が尽きません。また、100年前のイギリス社会の日常が挿絵付きで見られるという意味でも、貴重な資料となることでしょう。
目次
イースト・バーゴルト
祖母とイースト・バーゴルトで
冬と夏
母の帰国と父の記憶
イプスウィッチ
ウォーキンガム
クレイズモア
戦時のクレイズモア
戦時中、休暇を祖母と過ごす
バース
仕事
ダンスの日々
上首尾
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mntmt
23
「チム」シリーズの作者の自伝。1900年にベトナムで生まれ、イギリスで育っている。この頃の人々の暮らしがわかる。自伝って、歴史的資料になり得るんだな。びっくりしたのは、作者の母親がまだ小学生くらいの子供を祖母に預けて、父親が暮らすベトナムに行ってしまうところ。しかも、三年も!でも、当時は、珍しいことではなかったらしい。挿絵満載で興味深かい内容でした。2016/03/26
シュシュ
17
面白かった。『チムとゆうかんなせんちょうさん』のアーディゾーニの自伝。怒るとこわいおばあちゃんに育てられ、いじめられた学校時代。パーティーに行っても皆と交わらず妹と二人で皆を見ていることが多かったというから、おとなしい子だったのかも。でも友だちと一緒に自転車で遠出して野宿したりして結構冒険もしている。この本は子どもの本の作家になるところまでだか、その後、戦争の従軍画家になったらしい。「苦しいときもあったけど楽天主義が助けてくれた。そのうち、きっといいことがあると思っていた」と言う。この本を読めてよかった。2015/08/14
ぱせり
16
屋内では厳しく育てられながら、野外ではこれ以上ないほどに伸びやかに育った子ども時代が羨ましい。師の誰もが彼の画家としての資質を買っていたわけではなかった。何が才能で、何が成功かわからないけれど、世界中に彼のファンはいる。チムのシリーズは世界中の子に大切に読まれ、ファージョンの沢山の物語はアーディゾーニの絵と一緒に思いだされる。2015/09/10
timeturner
9
百年前のイギリス、それも田舎の暮らしがアーディゾーニの絵で生き生きと描かれ、文字だけの自伝よりずっとインパクトが強い。初めての挿絵の仕事がレ・ファニュだったというのには驚いた。2015/11/06
きつねねこ
2
何よりも挿絵がたっぷりあるのが嬉しい。「ムギと王様」「イタリアののぞきめがね」「ふしぎなマチルダばあや」「ガラス山の魔女たち」「ピーター・パン(講談社文庫版)」、どれも話しが面白いのは勿論だが、アーディゾーニの絵のお陰でより忘れ難い本となった。2015/08/25
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