出版社内容情報
否定的にしか論じられない“孤独”が、実は子どもの内的成長に必要であると著者は述べます。アイデンティティの認識、独創性、“一人でいる時間”にもたらされる豊かな実りについて気づかせてくれる一冊。
内容説明
孤独(ひとりでいること)の果実(みのり)はこんなにも豊かです。心の自由、アイデンティティの認識、独創性…。そして、人間には孤独でいるときにしか起こらないある種の内的成長があるのだ、と著者は言います。一般に淋しさや孤立というマイナスイメージ故、子どもと結びつけては考えない孤独の、積極的な意味をさぐります。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佳音
95
今の子どもは、内的成長のために必要な『一人でいる時間』を確保できているだろうか?自分と向かい合う時間だ。内観というとおおげさだが、その時間が、外的世界と子どもの内なる世界とを「意識的に一つに統合」させ、内的成長につながるとボールディングはいう。この孤独は寂しい孤独ではない。あくまで孤独(ひとり)で自らいる時間だ。ケースバイケースだが、親がスマホいじってばかりいてこどもをひとりにさせている時間は孤独(ひとり)ではない。それは寂しい孤独(こどく)だ。2016/12/07
ネギっ子gen
56
米国クェーカー教徒の母親である社会学者が1962年に出版。孤独と聞いて、まず感じるのが淋しさであり、孤立していること。しかし、この書物では、子どもが孤独でいる意義を説く。その教義で「静けさが求められ黙想が奨励」されるクェーカー教徒が書いた本という点を留意の上、出版から半世紀以上も過ぎた今こそ、読むべき書物だと思う。<1年1年と年を追うごとに、何かがわたしたちの生活に深く喰い込んできて、わたしたちの魂が必要としている貴重な沈黙の時間を削りとって>いる。そんな現代社会に、今の子どもたちは生きているのですから。2019/10/11
みーなんきー
29
図書館の読書のコーナーに、ひっそりと置かれていた本だが、パラパラと読んだ途端、良書と直感した。最近の子どもは寸暇を惜しんで学ばせたり、友達と一緒にいる事を良しとされる。しかし実際は、一人きりの時間に、自分と向き合う事で発達する、人間の軸の部分が大切。しかもその不思議な能力は、一人きりの時間に何かを感じて初めて作られるものだから、孤独の大切さはそこはかとないと本書は語る。他人の波動に影響されるより自分の考えに浸っている事が好きだった自分が、初めて肯定された気がした。2018/07/02
ぱせり
19
孤独でいる時間に、子どもたちは、自分の外にある世界と、心のうちにある世界とを、意識的に一つに統合し、内的成長をとげる。うしろにさがり、ひとりの時間を大切に見守って居るような大人が子どものそばにいたらいいのに。それがますます困難なこの頃ではあるけれど、私自身が私自身の孤独を充分大切にしながら、人の孤独に敬意をはらうことができたらいいと願う。 2016/10/21
Naomi
16
お友だちからオススメしてもらった本。 子どもにとっても、生活のどこかに「孤独(ひとり)でいる時間(とき)」をもつことが必要〜(略)〜それは、自由であること、内へ向かうこと、自分自身を発見することのために欠かせない条件であり、人間にはひとりでいるときにしか起こらないある種の成長がある(p.4) 求めてひとりでいるときにこそ、人間は、生きとし生けるものとより深い一体感をもつことができる(p.59) うん、そうね。「孤独」大事にしよう。2022/12/01