著者等紹介
下田立行[シモダタツユキ]
1950年生れ。京都大学大学院博士課程(西洋古典文学専攻)修了。現在、信州大学助教授
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感想・レビュー
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きりぱい
5
強いヒロインなら横恋慕されても断固としてはねつけると思われるなか、このヒロインは、受け入れると見せかけて命の時間を稼ごうとするので、そのあまりに冷静で精神的なタフさには逆にイラッときたりもする。現存のギリシャ小説5編の中では最後に書かれ一番長く、メインの恋愛物語の他に複雑に絡まる別の物語(クネモンなど途中で落ち着いて残念)もあって、舞台もギリシャからエジプトやエティオピアの戦いなど壮大で面白い。火刑場での奇跡、営みの時アンドロメダの絵を見ていたから肌の色の違う子が・・など神秘的な部分も楽しめる。2012/11/11
いとう・しんご
3
どの本か忘れたけれど、言行録では飽き足らず物語形式で福音書を書いた背景には、古代ローマにおける娯楽読み物の流行があったとし、作例として名前の挙がっていた本。そのときに、図書館の予約かごに入れて以来、やっと読みました。ラヴ・ロマンスを軸に、山賊や海賊からの逃避行あり、戦闘スペクタクルあり、とハリウッド映画みたいなハラハラドキドキの娯楽巨編です。福音書から2世紀ほど後の成立みたいだけど、古代人の意識や行動を知る上でも参考になった愉しい一冊でした。2022/04/06