内容説明
グルニエ唯一の旅行記。エジプトをはじめとするオリエントの様々な「スナップショット」を見せてくれる。
目次
1950年に書かれたエジプトだより
アレクサンドリア周辺
アレクサンドリアとカイロ
商業地区ムスキ
死者の町
ジクルとザール(法悦と悪魔祓い)
家庭生活
フェラー
秘儀を伝授された人びと
宗教的象徴〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
misui
8
序文においてグルニエは、正確な記述を心がけようとする旅行記に対し、それでは風景の佇まいや精神の働きをおろそかにしてしまうと述べる。帰国後十年を隔てて書かれた本書は印象を前面に出しており、回顧的なエッセイに近い。あるいは「ここではないどこか」を求めるのが旅だとして、結局そこに至った途端に「現在」に組み込まれるという嘆きを通して、グルニエも自身の圏域に囚われた人なのだと理解できる。「私は結局他のすべての人と同じなのだ。自分にとって重要なことが他者にとっては何ものでもないということを信じることができないでいる」2013/04/21
misui
5
再読。「そのパーティーには緑色の服を着るという条件で娘の女友達が招待されていた。緑のナイル河の色を基調に、すべてが整然と配置されていた。緑色のワインボトル、緑の草、緑色の水、緑色のヴェロネーゼの絵、緑色トカゲ、緑色のピスタチオ、緑色のアーモンド、緑色のリンゴ、緑青、緑色ヘビ……。アクセサリーは翡翠やエメラルドだった。…2016/04/22