感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はち
7
去年から今年の年始に発生した虚構論争。その中で話題になったのが平井弘の兄の問題。先日某歌会でこの話題が出てきたので読む。実際兄の非実在はわからなかったなぁ。それでも作者の中にある世界観はよくわかったし、それをよりよく理解するには、あるいはよりよく表現するためには虚構の戦死した兄が必要だったことはよくわかる。でもそれ以上にみずみずしい歌が多くて、少年期に戻ったような気持ちになった。虚構の兄のことだけを話題にするには勿体無いなぁ。2015/05/06
reiko@SIGNATURE
2
「男の子なるやさしさは紛れなくかしてごらんぼくが殺してあげる」について、佐々木幸綱による読みは決して多数派のものと一致しない。けれど、その結論として置かれるのは、やはり「生きる行為」と「やさしさ」とのきわどい矛盾であり、異なる読解を経ても同じ真理にたどり着くのは、この一首が名歌であることの証左であるといえよう。2010/04/07
warimachi
1
山田消児の著書で取り上げられていたものがやはり飛び抜けてよかった。「いもうとが手を貸したこと逃げのびる筈の一羽を雪のまうえで」「すこしでもきつくないように鶏のあし括りやるすすんで妹は」「男の子なるやさしさは紛れなくかしてごらんぼくが殺してあげる」2012/07/16
とぐち
1
平井弘さんの歌集『顔をあげる』『前線』、そして『前線』以後の短歌作品、その他が収められています。短歌の韻律にやわらかな歪とやわらかな性があります。【風が麦にすこし遅れて胸に吹くわらっても黙っている 君ばかり】【例えば 羊のようかもしれぬ草の上に押さえてみれば君の力も】
カイオン
0
比喩が飛躍しすぎてて良くわからない短歌もあったが、そこに惹かれるというか、うまく説明できないが総じて魅力的な歌集だった。2016/05/10