感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぞしま
12
『孤島』は勿論素晴らしいのだけど、本書も素晴らしかった。ここにあるエセーを支えているのは、グルニエのユマニスムなのだと強く実感。こんな時代だからかもしれないが、「いかにして戦争に反対するか」は考えさせられ、自身の安易な政治性に反省した。グルニエの文章は独白的、そして限りない逡巡に満ちている。この逡巡(時に近く、時に遠い)は彼の文章をうねらせる(うねっているのは自分なのかもしれないが…)、気づくといつの間にか、一般論や常識が消えた不思議な思索空間が形成されている…その筆致におののくばかり。2016/07/23