感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかふく
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拡大ー収縮の対立図式などをもとに読まれるが、ボードレールがこの中では特異で、円環の存在を現実に認めず曲折の方を称揚するにいたったことが言われる。またプーレの主著に『人間的時間の研究』があり本書も空間ー時間の対立を重く見るが、ここで言われる時間は「場所」とでも言うべきイメージによって捉えられているようだ。すると、訳者へ応答するならば、東洋的世界の円環について西田幾多郎(彼の絶対矛盾的自己同一は円環のイメージで語られる)や、西田を不思議と好んだ開高健のような作家を見ながら考えることも可能なのではないかと思う。2013/10/09