内容説明
雲の空中ステレオ写真集。
感想・レビュー
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ちはや@灯れ松明の火
40
空を見上げるのは好きだ。水彩絵の具を伸ばすように、油絵の具を重ねるように、さまざまな濃淡の白を青に含ませる雲。でも、質量を持った物体と認識するには距離が遠すぎる。波打ちながら広がる絨毯を、刻々と形状を変えていく生き物めいた動きを、もっと近くで見たくなる。ふたつ並んだ写真は同じようでいてわずかな時間空間のズレがあり、右目と左目から取り込まれた情報がひとつに結ばれる際に立体感を与える。二次元から浮かび上がる、雲。羽根のような、綿菓子のような、海のような、山のような。ここからじゃ見えないはずの、空を見ている。 2013/08/31