出版社内容情報
景観が映す社会
霧は印象派が「美しい」と教えるまで、誰の目にも映っていなかった――そんなオスカー・ワイルドの逆説を手がかりに、都市、郊外、農村、観光、芸術、政策まで、見慣れた景色の奥に潜む社会のかたちを読み解いていく景観の社会学の試み。
景観は、それを見る立場によって、またく異なる意味を帯びて立ち現れる、きわめて政治的な対象でもあるのだ。本書は、この当たり前すぎて見過ごされがちな「景観」を手がかりに、社会そのものの姿を読み解こうとする試みである。(「はじめに」より)
【目次】
は じ め に
第1章 景観の社会学の視点Ⅰ
──景観の定義と認識方法をめぐって
1 景観は社会を映す
2 景観の社会学の系譜
3 景観と風景
4 風土について
5 準客観的なものとしての景観
6 景観の社会学へ
第2章 景観の社会学の視点Ⅱ
──国土という景観
1 景観としての国土を考える
2 近代以前の空間認識
3 地図・統計・インフラがつくる「国土の見え方」
4 国土をめぐる言説と想像
5 計画がつくる国土
6 国土を「景観」として読む
第3章 美醜からみる景観
1 日本の街は美しいのか,醜いのか──違和感の出発点としての景観
2 ヨーロッパの都市はなぜ美しく見えるのか
3 なぜ日本の街は「統一されなかった」のか1──近代化と美意識からの検討
4 なぜ日本の街は「統一されなかった」のか2──制度から考える
5 ヨーロッパを模倣すれば街は美しくなるか
6 美・景観・公共性を再定義するために
第4章 感覚としての景観
──視覚中心主義を越えて
1 視覚偏重の近代
2 音の風景
3 匂いと記憶
4 触れる風景
5 多感覚的景観の未来
第5章 景観と社会的記憶
1 景観と記憶の理論的枠組み
2 都市と記憶の継承
3 戦争と災害の記憶を刻む景観
4 日常生活と景観の記憶
5 記憶の景観と未来の継承
第6章 観光と景観
1 観光というまなざし
2 パッケージ化され,商品化される風景
3 つくられた「南国」イメージ
4 観光と真正性
5 情報化社会における観光の変容
6 観光の暴力
第7章 景観とアート
1 ランドスケープ・アートの成立
2 地域芸術祭の登場
3 ヨーロッパの芸術祭と景観
4 都市の再生資源としてのアート
5 景観アートの社会学
第8章 農村と里山の景観
1 人びとの営みがつくる地形と環境
2 草山の景観と近世農業社会
3 雑木林から人工林へ
4 茅葺き屋根と農村景観の象徴
5 里山景観の再編と現代的課題
第9章 自然景観の保護
1 自然景観は保護されるべきものか
2 国立公園制度と自然の制度化
3 国定公園と地域社会
4 文化的景観と生きられる自然
5 自然景観保全の現代的課題
第10章 郊外とニュータウンの景観
1 計画された暮らしの景観
2 地名の刷新と暮らしの商品化
3 ニュータウンの時間変容と
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