出版社内容情報
印刷黎明期の裏事情に迫る
イギリスに印刷が導入されはじめた時期に活躍した印刷業者、ウィリアム・キャクストン(William Caxton)。時代はバラ戦争真っただ中、裏切り・奸計、駆け引きが渦巻く世界で、彼は印刷工房を構え、王侯貴族らの要人を主な顧客として100冊を越える書物を出版した。本書は、初期印刷の態様を描き出すとともに、印刷事業と当時の政治との関係を考える。
【目次】
序 本書について
1 本書の課題
2 主要問題意識
3 研究方法
4 本書で扱う主要な3種類の史料・著作物
5 各章の概要
6 元となる論考
キャクストン・歴史年表
本書で取り上げる主な人物
第Ⅰ部 政治の中のキャクストン
1 キャクストンとブルージュ
1―1 フランドルの毛織物貿易商
1―2 静かな異変
1―3 政治の混乱の中で
1―4 新たな突破口を求めて
2 キャクストンが「アーサー王と皇帝ルシウスの物語」を書き換えたのか
2―1 ヘンリー・テューダーとカドワラドルへのお告げ
2―1―1 「書き換えたのはマロリーかキャクストンか」の問いは妥当か
2―1―2 『アーサー王の死』の印刷用原稿の分割態様
2―1―3 アーサーへの予言,カドワラドルへの予言
2―1―4 キャクストン版『イングランド年代記』における「カドワラドル」の意味
2―1―5 ヘンリー・テューダーの旗印とキャクストン版『アーサー王の死』
2―1―6 ヘンリーⅦ世とアーサー王
2―1―7 キャクストンの立場
2―2 補論:「アーサー王と皇帝ルシウスの物語」の書き換え者
2―2―1 書き換えをしたのはキャクストンではない
2―2―2 奥付の出版日について
2―2―3 マーガレット・ボウフォト
第Ⅱ部 『イングランド年代記』の印刷用原稿を探す
3 散文「ブルート」写本とキャクストン版『イングランド年代記』との関係
はじめに
3―1 Add10099写本の謎解明を求めて
3―1―1 散文「ブルート」写本研究とは
3―1―2 大英図書館所蔵BL Add10099写本をめぐる問題
3―1―3 カースティング・オフ・マーク?
3―1―4 透かし模様の調査による傍証
3―2 ハンティントン図書館所蔵HM136写本
3―2―1 HM136写本とは
3―2―2 HM136のユニークなテクストの組み合わせ
3―2―3 「エドワードⅢ世追悼」のテクスト派生
3―3 新しくて有望な可能性
3―3―1 ウェイクリン博士からの知らせ
3―3―2 Add10099とHM136の比較――「エドワードⅢ世追悼」――
3―3―3 HM136における「続篇」は印刷本のコピーか?
3―3―4 HM136の所有者ジョン・レチェとは
3―4 HM136とキャクストン版『イングランド年代記』(1480)の照合
3―4―1 比較と照合の作業
3―4―2 埋め草が教えてくれたこと
3―4―3 照合をおえて
4 マセソン博士,リーズの学会発表遺稿



