出版社内容情報
自由か強権か――
現代中国を哲学・歴史から問い直す。
既成秩序に「乱」をもって対抗し、人民を「王者仁政」の桎梏から解放したはずの中国。文化大革命を「天下大乱」と否定する一方で、こと政治秩序に関しては「王者仁政の治」への先祖帰りすら感じさせるなど、乱反射のごとき相貌を見せる中国。
長期的視野から現代中国の位置を問い直すとともに、巨大で複雑なこの国家を観察するための視点を提示する。
【目次】
第Ⅰ部 一強体制のなかの権力
第一章 習近平時代の中国政治──民主・集権・官僚制
はじめに
一 民 主──民意政治
二 集 権──治と乱
三 官 僚 制──党の電線
おわりに
第二章 新型コロナウィルスと中国
一 感染制圧と「社区」
二 「単位」から「社区」へ
三 二冊の日記から
四 電線と党
第三章 一強体制を哲学する──カフカと魯迅
一 治安管理処罰法改正案
二 カフカの「門」──不可視の権力
三 卵チャーハンの作り方
四 鉄の檻と掟の門──阿Qの最期
第四章 一九四九年の選択──知識人と中国革命
一 去留の選択
二 期待と悔悟──思想改造
三 繰り返される知識人批判
四 伝統文化の離散─香港・台湾の新儒家
第Ⅱ部 辛亥革命の内と外
第五章 辛亥革命の歴史的位置──中国史の「北」と「南」
一 中華世界と清朝
二 民族と国家
三 中国史の中の「北」と「南」
第六章 岡倉天心の中国南北異同論
一 近代日本の中国認識
二 岡倉天心の中国旅行と中国認識
三 「支那南北ノ区別」論
四 南北区分論の歴史的位置づけ
第七章 韓国併合と辛亥革命──張謇をてがかりに
はじめに
一 張謇と国会開設請願
二 大隈「韓国統監」説
三 中国から見た韓国併合
おわりに
第八章 清室優待条件から見た中華民国初期の憲政体制
はじめに
一 南北講和と「清室優待条件」
二 「清室優待条件」をめぐる攻防
三 民国成立後の「清室優待条件」
四 北京政変と「清室優待条件」論争
おわりに
第Ⅲ部 伝統のなかの革命
第九章 アジアからの問題提起──中国医学をめぐって
一 SARSと中国医学
二 中国医学の近代
三 科学の知と中国医学
四 伝統知・地域知への傾斜
五 近代への適応と地域の学知
第一〇章 中国マルクス主義と伝統文化──政統・親統・道統
一 「君」にして「師」たる毛沢東
二 皇帝としての毛沢東──尊尊(政統)
三 家父長としての毛沢東──親親(親統)
四 教師としての毛沢東──賢賢(道統)
五 血縁原理による社会結合
第一一章 康有為の大同世界
はじめに
一 康有為と『大同書』
二 宗族と大同
三 ディストピアとしての大同
四 自由と統制
おわりに
第Ⅳ部 ロシア、アメリカ、そしてアジア
第一二章 非対称な隣国──近代中国とロシア
一 中露関



