出版社内容情報
古代から、日韓の演劇交流は盛んだった。その証たる「伎楽」の伝来場所を比定し、ひいては今に残る獅子舞の源流を辿ることでその面影を探る。近代では、新派の川上音二郎、新劇の秋田雨雀や村山知義、木下順二の民話劇を取りあげ、それぞれ韓国との関わりを分析する。
【目次】
第Ⅰ部 韓国と古代日本
第1章 伎楽の「桜井」考
1 はじめに
2 保田與重郎の功罪
3 伎楽の「桜井」の推定
4 おわりに
第2章 「数河獅子」の来た道
1 はじめに
2 『続日本紀』の記録
3 散在する面影
4 還俗した隆観
5 隆観をさかのぼる
6 天狗獅子と金蔵獅子
7 曲獅子に宿った新羅
8 おわりに
第3章 沖縄の「勢理客獅子」と韓国
1 はじめに
2 勢理客の獅子と北青獅子
3 勢理客獅子舞の作り手
4 王家の来た道
5 琉球と韓半島の交流
6 おわりに
第4章 東アジア獅子舞の系譜
1 はじめに
2 日韓にまたがる五色獅子
3 玄界灘を渡った五色獅子
4 中国の五色とネパールの五色
5 おわりに
第5章 田楽と農楽
1 はじめに
2 田舞の成立
3 田舞と田楽
4 田楽の発達と田楽能
5 田楽と農楽
6 おわりに
第Ⅱ部 日本と近代韓国
第6章 玄界灘を渡った川上音二郎
1 はじめに
2 川上の韓半島訪問
3 戦争劇の中の韓国人
4 『新国王』の書き手
5 テーマの背景にあるもの
6 川上の上演意図
7 おわりに
第7章 秋田雨雀の金玉均
1 はじめに
2 施された劇作術
3 省かれた政治色
4 託された未来像
5 おわりに
第8章 村山知義の『故郷物語』考
1 はじめに
2 『故郷物語』の謎
3 『故郷物語』と韓国語
4 『故郷物語』のテーマ
5 『故郷物語』と思想
6 おわりに
第9章 『夕鶴』の舞台
1 はじめに
2 民話劇誕生の時期
3 内面的ドラマツルギーと外面的ドラマツルギー
4 『夕鶴』――民話と戯曲の間
5 舞台の上での『夕鶴』
6 おわりに
第10章 歌舞伎の韓国公演
1 はじめに
2 公演の詳細
3 設問の内容
4 アンケートの分析
5 インタビューの分析
6 マスコミの反応251
7 おわりに
結 び