出版社内容情報
子どもを持てない苦しさだけでなく、
生まれた子どもの苦しみを知ってほしい
長沖暁子(元慶應義塾大学教員/『AIDでうまれるということ』共編著者)
「出自を知る権利」の要望は、
尊厳ある生を賭した闘いである。
柘植あづみ(明治学院大学教員/『生殖技術と親になること』著者)
本書には、AID(第三者の精子による人工授精)で生まれた人たちが、生の声をつづっている。
男性不妊の夫婦にとって自分たちの子を得る「最後の希望」とされる医療は、秘密を前提に実施されてきた。成長して親の嘘を知った子どもは、自身のルーツが分からないことに苦しみ、「出自を知る権利」を求めて声をあげる。
生殖医療がもたらした命と家族、社会に対する問いを、ぜひ一緒に考えていただきたい。
【目次】
はじめに 仙波由加里
第1部
AIDで生まれた私たち姉妹 アオイ
子どもは人として尊重されているだろうか 木野恵美
誰のための命か 若草
AIDで生まれたと知ってから二十数年 藤田あや
AIDで生まれて、今思うこと 大羽やよい
偽りの個人情報鳥雲に 鳰灯子
AIDと、子どもを生むということ 海道明
Column我が国におけるAIDと日本産科婦人科学会 久慈直昭
第2部
AIDで子どもを持った母親として――小山きくさんの場合 才村眞理
私に素晴らしい人生を与えてくれてありがとう 木村
無精子症だから築けた家族の絆 寺山竜生
妻と子とAID 小鳩さつき
Column精子や卵子の提供により子どもをつくるなら 才村眞理
提供者と生まれた人の座談会
Column配偶子提供を認めるなら生まれた人が生きやすい社会を築く必要がある 柘植あづみ
おわりに 石塚幸子